高配当株の魅力は、配当金という“現金収入”が得られる点にあります。
しかし、受け取った配当金が思ったより少ないと感じたことはありませんか?
実はその原因は税金にあります。
本記事では、高配当株にかかる税金の仕組みと、NISA・配当控除・損益通算などを活用した節税術を初心者にもわかりやすく解説します。
高配当株にかかる税金とは?
高配当株から得られる配当金には、「所得税」と「住民税」がかかります。
その税率は合わせて約20.315%(所得税15.315%+住民税5%)です。
たとえば、年間10万円の配当金を受け取った場合、約2万円が税金として差し引かれ、手元に残るのは約8万円。
これでは、表面利回りが5%でも、実質利回りは4%未満に下がってしまいます。
多くの人が利用している「特定口座(源泉徴収あり)」では、自動的に税金が引かれます。
一方で、「総合課税」「申告分離課税」などの制度を選択することで、節税できるケースもあります。
節税術①:NISAを活用する
もっとも手軽で効果的な節税術が、NISA(少額投資非課税制度)です。
NISA口座で購入した株式やETFから得られる配当金は、非課税となります。
2024年から始まった新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」に分かれています。
高配当株はこのうち成長投資枠で購入可能。年間240万円、最大1,200万円まで非課税で運用できます。
- つみたて投資枠: 長期・積立・分散が対象(主に投資信託)
- 成長投資枠: 個別株・ETF・REITなどが対象
NISAのメリットは、配当金も譲渡益も非課税になる点。
とくに高配当株を長期保有する方にとっては、「毎年得られる配当金が非課税」という強みがあります。
ただし、注意点もあります。
- NISA口座では損益通算や繰越控除ができない
- 配当控除も使えないため、制度の特性を理解して使い分けが必要
とはいえ、初心者にとってNISAは最も手軽にできる節税術です。
まずはNISA口座の活用を検討してみましょう。
節税術②:配当控除を活用する
「特定口座(源泉徴収あり)」で配当を受け取っている方の多くは、自動で税金が引かれて終わりになっています。
しかし、あえて確定申告をして「総合課税」を選ぶことで、配当控除を受けることができます。
配当控除とは?
一定の配当金に対して、所得税・住民税の税額から差し引かれる制度です。
以下のような仕組みで節税が可能になります。
- 課税所得が330万円以下なら、所得税10%+住民税2.8%が控除
- 所得が高くなるにつれて控除率は段階的に縮小
つまり、年収がそこまで高くない投資家にとって、配当控除は非常に効果的な節税手段です。
ただし、以下のような注意点もあります。
- 課税所得が900万円を超えると、かえって税率が上がることも
- 配偶者控除や扶養控除などに影響が出る可能性がある
そのため、確定申告の際は自身の所得や状況をよく確認し、必要なら税理士やFPに相談すると安心です。
配当控除とは?確定申告すれば税金が戻る仕組み
高配当株の利益を特定口座(源泉徴収あり)で受け取っている人の多くは、年間の配当金に対して自動的に約20%の税金が引かれています。
しかし、実は「配当控除」という制度を使えば、この課税額の一部を取り戻すことが可能です。特に所得が少ない人や、課税所得が330万円以下の人には有利になる可能性があります。
配当控除の基本は以下の通りです:
- 上場株式の配当に対しては10%(所得税)+2.8%(住民税)の控除が受けられる
- 総合課税で申告する必要がある(分離課税では不可)
- 税率が逆転する「配当控除のデメリット」に注意(所得が高い人は不利)
したがって、年収や他の収入との兼ね合いを見ながら、配当控除が有利かどうかを判断する必要があります。
損益通算と繰越控除|株の損失で節税できる?
株式投資で損失が出た場合、その損失を活かして節税する方法が「損益通算」と「繰越控除」です。
損益通算の基本:
- 同じ年に得た譲渡益(株の売却益)と配当所得の損益を相殺できる
- 損失が利益を上回った場合は、翌年以降3年間まで繰り越して控除可能
- 適用には「確定申告」が必須
つまり、高配当株の配当益が出ていても、他の銘柄で損失があれば、その損を使って課税対象を減らすことができます。
年間トータルで損益を管理し、適切に確定申告を行うことが節税のカギになります。
どの節税策を使うべき?使い分けの考え方
高配当株投資における節税対策は、以下のように使い分けるのが基本です。
節税策 | メリット | 向いている人 |
---|---|---|
NISA | 配当金・売却益が非課税 | 投資初心者/少額投資 |
配当控除 | 確定申告で税金が還付 | 年収330万円以下/専業主婦/学生 |
損益通算・繰越控除 | 他の損失と相殺して節税 | 複数銘柄を運用/損失が出ている人 |
状況に応じて併用も可能です。NISAで非課税運用しつつ、特定口座では配当控除や損益通算を活用するなど、柔軟に組み合わせて活用しましょう。
まとめ|高配当株の税金対策は「知ってるかどうか」が差を生む
高配当株は「配当収入」という形でキャッシュフローを得られる魅力的な投資手法ですが、その利益には必ず税金がかかります。
節税策を正しく活用できるかどうかで、最終的な「手取りリターン」に大きな差が出ることも珍しくありません。
この記事で紹介したように、NISAの活用、配当控除、損益通算・繰越控除など、選択肢は多岐にわたります。自分の所得や保有銘柄の状況に応じて、最適な方法を検討し、効率的な資産形成を目指していきましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q. 高配当株でもNISAを使うべきですか?
- A. はい。非課税で配当を受け取れるのは非常に有利です。成長株と比べても恩恵が大きいケースがあります。
- Q. 配当控除とNISAは併用できますか?
- A. NISA口座内の配当はもともと非課税なので、配当控除の対象ではありません。対象となるのは「特定口座の配当」です。
- Q. 損益通算の手続きは難しいですか?
- A. 確定申告が必要ですが、証券会社の年間取引報告書を使えばスムーズに行えます。初心者でも比較的簡単です。
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