【基礎から実務まで】「総量規制 とは」を迷わず理解する
カードローンの「総量規制 とは?」に悩む人向けに、年収の3分の1ルールの意味、対象・対象外、例外・除外の具体例をまとめました。ショッピング枠やリボ払いなど境界で誤解されやすいポイント、申込時の落とし穴、家計と両立する返済計画の作り方まで、実務目線でやさしく解説します。
この記事で分かること
- 総量規制の目的と基本ルール(年収の3分の1)
- どの貸付が対象で、どれが対象外か
- 例外・除外の具体例と使える条件
- 誤解されやすい境界線(ショッピング枠・リボ・キャッシング)
- 申込実務での審査停滞を避けるコツ
- 家計と両立する返済計画の立て方
総量規制の全体像(まずは一望)
スマホは左右にスライドできます。迷いやすい論点を対象・対象外・例外・除外に分解しました。
区分 | 該当の例 | ポイント | 注意点 |
---|---|---|---|
対象 | 消費者金融のカードローン・クレカのキャッシング枠など | 原則:年収の1/3を超える新規貸付が困難 | 他社残高・キャッシング枠も総量の計算に影響 |
対象外 | 銀行カードローン・信用金庫の個人向け貸付 等 | 総量規制の対象外でも返済能力審査は厳格 | 「無制限に借りられる」わけではない |
除外 | 住宅・自動車・高等教育など目的型ローン ほか | 制度上、総量の分母計算から外す扱い | 契約・用途・証明書類が前提 |
例外 | 緊急医療費、個人事業主のつなぎ資金、配偶者貸付 等 | 一定の条件下で上限を超え得る | エビデンス提出・審査体制の確認が必須 |
総量規制の「基本」
総量規制とは何か
- 目的過剰貸付・多重債務を防ぐための上限ルール。
- 基本対象となる貸付の合計が年収の1/3を超えないようにする考え方。
- 適用主に貸金業者(消費者金融・一部の信販のキャッシングなど)に関わる枠組み。
年収の3分の1ルールの計算
- 年収:税込の年間収入(ボーナス含む/源泉徴収票等で確認)。
- 上限の目安:年収 × 1/3(対象貸付の合計で判定)。
- 他社残高・クレカキャッシング枠が効く場合あり。
年収(税込) | 上限目安(1/3) | 既存の対象残高 | 新規で狙える枠の目安 | メモ |
---|---|---|---|---|
300万円 | 100万円 | 40万円(カードローン) | 最大60万円程度 | キャッシング枠の扱い要確認 |
450万円 | 150万円 | 0円 | 最大150万円程度 | 収入証明の提出場面が増える |
対象となる貸付/対象外の貸付
対象になりやすい貸付
- 消費者金融のカードローン
- クレジットカードのキャッシング枠
- 一部の目的外ローン(無担保・使途自由)
対象外になりやすい貸付
- 銀行カードローン(制度として対象外)
- 住宅・自動車・教育など目的型ローン(除外扱い)
- おまとめ(設計・要件による)
例外・除外(具体例と使える条件)
制度上、「除外」と「例外」は意味が異なります。除外はそもそも総量の計算から外れる貸付、例外は条件付きで上限を超え得る取り扱いのことです。
区分 | 代表例 | 成立のポイント | 留意点 |
---|---|---|---|
除外 | 住宅・自動車・高等教育等の目的ローン、医療費立替 等 | 使途が特定・証明できること | 契約・証明書類の提出が前提 |
例外 | 緊急医療費、個人事業主の運転資金、配偶者貸付 等 | 所定の確認書類・同意・収入把握 | 各社の運用・審査体制を事前確認 |
境界線で迷いやすいケース
ショッピング枠とリボ
- ショッピング枠のリボ払いは通常「総量規制の直接対象外」とされることが多い一方、返済能力には影響。
- クレジットカードのキャッシング枠は対象になりやすい。
おまとめ(借換え)
- 「返済負担の軽減」を目的とする借換え設計は、取り扱いが分かれる領域。
- 金利・毎月返済額・総額の減少が明確だと評価されやすい。
申込実務での注意点(審査停滞を最小化する段取り)
総量規制の理解だけでは足りません。入力の整合性・他社申告・在籍確認・収入証明の4点を正しく扱うと、通過率とスピードが大きく変わります。
他社借入の申告ルール
- 対象は消費者金融カードローン+クレカのキャッシング枠が中心。リボ・ショッピング枠は通常は総量の直接対象外だが、返済能力に影響するため申告欄があれば正確に。
- 件数・残高・毎月返済額を用意。アプリや明細で直近値を確認。
- 「枠はあるが0円利用」のキャッシング枠は扱いが分かれるため、申込画面の指示に従い記載。迷えば備考欄で補足。
在籍確認・収入証明の勘所
- 在籍確認は勤務先への電話が原則(用件は伏せる運用が一般的)。連絡がつく時間帯を具体化して申告。
- 電話が難しい場合、社員証・社会保険証・給与明細等で書類代替が案内されるケースあり(可否は商品次第)。
- 収入証明は一定額超や他社状況次第で求められやすい。源泉徴収票・直近給与明細を鮮明に用意。
申告項目 | 良い入力 | NG入力 | 実務のコツ |
---|---|---|---|
他社残高 | 最新明細の数値で記入 | 概算・推測で入力 | アプリのスクショで控えを残す |
勤め先名 | 登記上の正式名称 | 略称・旧社名 | 名刺・源泉徴収票と合わせる |
在籍時間 | 平日10〜17時など時間帯を明記 | 「日中」等の曖昧表現 | 代表番号/内線の案内も用意 |
同日多重申込を避ける理由
- 同日に複数へ申込むと、申込行動の観点で不利になりやすいほか、後続の在籍確認が重複し失敗の原因に。
- 基本は1社ずつ。結果を見て必要に応じて次へ。当日狙いは午前完了が鉄則。
返済計画の立て方(家計と総量規制を両立)
総量規制の枠内であっても、家計に無理がない返済でなければ意味がありません。毎月返済額の上限目安・返済方式・繰上げ運用をセットで設計します。
毎月返済額の上限目安
- 目安手取りの10〜20%を上限に(家族構成・固定費で調整)。
- 安全策臨時出費用に最低1ヶ月分の生活防衛資金を確保。
- 見直し家賃・通信・保険・サブスクの固定費圧縮を同時に実施。
返済方式の比較
方式 | メリット | 注意点 | 向く人 |
---|---|---|---|
元利定額 | 毎月額が一定で家計が安定 | 最低額だけだと期間が長くなる | 固定収入・安定志向 |
残高スライド | 収入の波に合わせて調整しやすい | 最低返済のみは長期化しがち | 歩合・変動収入 |
日割りで増えるため、給料日翌日の繰上げ固定がもっとも効率的です。
繰上げ運用テンプレ(コピペ可)
- 給料日翌日=アプリで増額返済(固定イベント)。
- 臨時収入は50%を前倒し返済へ(残り50%は生活防衛に)。
- 返済日前日・当日・残高不足の3通知をON。
月 | 期首残高 | 約定返済 | 繰上げ返済 | 概算利息(30日) | 月末残高目安 |
---|---|---|---|---|---|
初月 | 300,000円 | 15,000円 | 20,000円(給料日翌日) | 約4,438円(年18%想定) | 約260,562円 |
2ヶ月目 | 約260,562円 | 15,000円 | 20,000円 | 約3,855円 | 約221,707円 |
無利息施策の活かし方(期間内の元本圧縮)
無利息期間は強力ですが、「期間後」に金利差が効いてくるため、期間中に元本をどこまで減らすかが核心です。
運用ステップ
- 無利息の開始日・終了日をメモ。
- 期間中に2回以上の繰上げ(給料日翌日+月末)。
- 終了後は上限金利で総額を再試算し、以降の繰上げ計画を再設定。
よくある失敗 → 置換
- 期間内に返済せず → 給料日翌日の繰上げを固定
- 終了日を忘却 → 終了3日前に通知設定
- 下限金利で判断 → 終了後の上限で再試算
通知と自動化(延滞ゼロ運用を仕組み化)
延滞は遅延損害金だけでなく信用情報にも影響します。仕組み化でヒューマンエラーをなくしましょう。
仕組み | 設定内容 | 目的 | 補足 |
---|---|---|---|
自動引落 | 返済日=給与日直後に設定 | 残高不足を防ぐ | 固定費と競合させない |
返済通知 | 前日・当日・残高不足の3通知をON | 期日忘れを防止 | 銀行アプリと二重化 |
繰上げショートカット | アプリの増額返済をホームに配置 | 実行率を上げる | 給料日翌日の固定イベント化 |
申込〜完了チェックリスト(コピペ可)
そのままメモアプリに貼って運用できます。■でチェックしてください。
■ 2. 年収と1/3の上限目安、他社残高・キャッシング枠を整理した
■ 3. 申込情報は原本と完全一致(氏名・住所・勤務先・年収)で入力した
■ 4. 在籍確認の時間帯を具体化(平日◯時〜◯時)し、連絡がつく体制を整えた
■ 5. 収入証明(源泉徴収票・給与明細)を鮮明に撮影し、四隅まで写した
■ 6. 申込は1社ずつ(同日多重は避ける)
■ 7. 返済方式を決めた(家計安定→元利定額/収入に波→残高スライド+繰上げ)
■ 8. 給料日翌日を繰上げ固定日に設定、臨時収入の50%を前倒し返済へ
■ 9. 無利息の開始・終了日をメモし、終了3日前に通知をセットした
■ 10. 返済日前日・当日・残高不足の3通知と自動引落を設定した
■ 11. 完済後は解約と完済証明PDFの保管まで実施する
ケーススタディ:属性・目的別に“総量規制”をどう扱うか
総量規制は「制度理解」で終わりません。自分の家計・期限・目的に落として、どのルートを選ぶかを決めるのが実務です。3つの代表ケースで、段取りと落とし穴を具体化します(数値は概念比較)。
ケースA:単身正社員/年収360万円/20万円が今月必要
- 総量の目安360万×1/3=120万円(対象貸付合計)
- 既存消費者金融残高30万円・クレカキャッシング枠10万円(0円利用)
- 当日性必要 → 当日ルート(消費者金融)を第一候補
- 段取り午前完了/在籍時間を具体化/無人契約機を確認
- 返済給料日翌日に繰上げ固定+無利息期間があれば集中圧縮
- 注意キャッシング枠の扱いは申込画面の指示に従い補足
ケースB:共働き/手取り合算50万円/教育関連で60万円必要
- 目的教育費 → 金融商品によっては除外に該当し得る
- 選択まず目的ローン(教育/学資)を比較、使途証明を準備
- 代替対象外の銀行カードローンも並行で条件比較(返済能力審査は厳格)
- 返済元利定額+ボーナス月は増額で期間短縮
- 注意「除外」でも書類不備はNG。見積書・請求書を鮮明に
ケースC:個人事業主/年収変動/運転資金30万円
- 性質事業のつなぎ → 条件次第で例外に該当し得る領域
- 書類確定申告書・青色申告決算書・売上台帳などエビデンスを整備
- 選択事業性ローン・ビジネスカード・銀行側の選択肢も比較
- 返済入金サイクルに合わせ残高スライド+繰上げで管理
- 注意個人用途のカードローンと資金使途を混在させない
ケースD:おまとめ・借換えで毎月負担を下げたい
- 狙い金利・毎月額・総額の減少が明確なら評価されやすい
- 候補銀行カードローン(対象外)や、専用借換え商品
- 実務全社の残高・金利・毎月額を表で整理→削減効果を明確化
- 注意新規借入で期間だけ延長し総額が増える設計は避ける
損益分岐と判断フロー
損益分岐の考え方
- 短期(〜30日)無利息が強力。期間内に元本を圧縮できる人向き。
- 中期(2〜6ヶ月)上限金利の差が効く。銀行側の条件も並行比較。
- 長期(6ヶ月〜)金利差×繰上げ頻度で総額が決まる。返済自動化が武器。
給料日翌日=繰上げ固定日が最も効率的。
判断フロー(If → Then)
- 今日中に必要? → はい:当日ルート(消費者金融)/ いいえ:②へ
- 完済は1ヶ月以内? → はい:無利息ありを優先/ いいえ:③へ
- 他社残高が多い? → はい:銀行カードローンも検討(対象外)/ いいえ:④へ
- 用途が特定の目的費? → はい:目的ローン(除外)を最優先/ いいえ:⑤へ
- 電話を避けたい? → はい:書類代替・Web完結強みの商品を絞り込み
年収×上限目安×既存残高の早見表
数字は制度理解のための概念上の目安です。実際の審査は返済能力等の総合判断で決まります。
年収(税込) | 上限目安(1/3) | 既存対象残高 | 新規に狙える目安 | 想定ルート | メモ |
---|---|---|---|---|---|
300万円 | 100万円 | 20万円 | 〜80万円 | 当日性→消費者金融/総コスト→銀行 | 収入証明の提出場面あり |
420万円 | 140万円 | 50万円(複数社) | 〜90万円 | 借換え→銀行側も検討 | おまとめ効果が鍵 |
550万円 | 183万円 | 0円 | 〜183万円 | 目的次第:目的ローン/銀行 | 高枠でも必要額+少額予備で申請 |
よくある失敗(NG)→ OKの置換
NG | なぜ問題? | OK(置換後) | 実務のコツ |
---|---|---|---|
「対象外=誰でも通る」と誤解 | 返済能力審査は別枠で厳格 | 対象外でも家計×書類×整合で勝負 | 原本一致/在籍時間の具体化 |
下限金利だけで比較 | 初回は上限適用が多い | 上限金利で総額試算 | 無利息終了後も含める |
同日で複数社に申込 | 申込行動が不利/在籍が衝突 | 基本は1社ずつ結果を見て次へ | 午前完了・締切遵守 |
無利息を活かさず放置 | 終了後の利息が増える | 給料日翌日の繰上げ固定 | 終了3日前に通知 |
まとめ(要点の最終確認)
- 総量規制は対象貸付合計=年収の1/3を超えないための枠組み。対象/対象外/除外/例外を先に判定。
- 判断は完済予定日×上限金利×無利息の有無で総額試算し、繰上げ固定と通知で運用を自動化。
- 申込は整合性・鮮明さ・在籍時間の具体化で停滞ゼロへ。借換えは金利・毎月額・総額の減少を明確に。
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