【“いくらなら安全?”が5分で決まる】返済シミュレーションの作り方
「カードローン 返済 シミュレーション」は、家計に無理がない額=安全返済額を決める作業です。この記事では手順→目安→ツール化の順に解説し、日割り単利の考え方と上乗せ・月2回運用の効き方まで実務で使える形に落とし込みます(最終判断は各社の約款・明細に従ってください)。
この記事で分かること
- 安全返済額の決め方(10〜15%ルール)
- 日割り単利の考え方と月次近似のやり方
- 繰上げ・月2回運用で平均残高を下げるコツ
- スプレッドシートでの簡易テンプレ(関数例)
- 家計に合わせたケース別の安全目安
- 前提の整理(用語・入力項目・安全ライン)
- 安全返済額の決め方(5ステップ)
- ケース別の目安(月いくらが安全?)
- ツールの作り方(手計算/電卓/スプレッドシート)
- よくあるズレと確認ポイント(端数処理・締切時刻・手数料)
- 数値で見る「毎月いくらが安全?」
- 感度分析(上乗せ・月2回化・金利の効き方)
- 7日で固める“シミュ→運用”ブリッジ
- そのまま使えるテンプレ(関数・CSV・メモ)
- ケース別の安全目安(手取り×10〜15%の帯で設計)
- 入力ミスを防ぐチェック(横スワイプ)
- ボーナス併用・前倒し返済の効果を数値で確認(実践編)
- 金利変動・返済停滞に備えるストレステスト
- 複数の借入がある場合の優先順位と進め方
- まとめ:安全ラインは「早く減らす仕組み」と「無理のない上限」
- よくある質問(FAQ)
前提の整理(用語・入力項目・安全ライン)
用語と入口を揃えると、シミュの数字がブレにくくなります。まずは「何を入れて、何を見るか」を統一しましょう。
年利・実質年率・日割り(単利)
- 年利(契約利率):例 14.6% 。概算の利息計算に使用。
- 実質年率:手数料等を含む総コストの指標(比較用)。
- 日割り単利:概算式
利息=元金×年利×日数/365
(商品により366・端数規定あり)。
安全返済比率の目安
- 手取り月収×10%:快適ゾーン(原則ここで設計)。
- 手取り月収×15%:上限目安(これ以上は圧迫しやすい)。
- 複数ローンがある場合は合算の返済比率で判断。
入力する項目(最小セット)
- 元金(残高)・年利・毎月の返済額候補
- (任意)繰上げ額/日、月2回化、ボーナス加算
確認する指標
- 完済までの月数/総利息/最大の月負担
- 返済比率(手取り比)と遅延ゼロの再現性
安全返済額の決め方(5ステップ)
“家計に合わせた額”から出発し、シミュレーションで検証して確定します。途中返済のルールも同時に決めると実行しやすいです。
ケース別の目安(月いくらが安全?)
目安はあくまで出発点。家計の波・他債務の有無で調整します。
安定収入(会社員)
- 安全:手取り×10%(例:手取り25万円→2.5万円)。
- 上限目安:手取り×15%(3.75万円)。
- 運用:給料日翌+月2回+月初上乗せ。
変動収入(シフト・歩合)
- 安全:最低月の手取り×10%で設計。
- 繁忙月は上乗せで短縮、閑散月は最低額+αで守る。
ボーナス併用
- 基本は月次で無理のない額をキープ。
- ボーナス時に追加元金(無料時間帯で)。
- 一括返済時は当日扱いの締切と反映時刻を確認。
ツールの作り方(手計算/電卓/スプレッドシート)
厳密計算は商品仕様で変わりますが、家計設計には月次近似で十分。表計算で再現できるテンプレを用意しておくと速いです。
月次近似(まずはこれでOK)
- 当月利息 ≒ 残高×年利/12(概算)。
- 元金減=毎月額−当月利息、翌月残高=残高−元金減。
- 途中返済は入れた月の残高を即時減算。
スプレッドシート関数例
【列の定義】 A:月、B:期首残高、C:年利、D:毎月額、E:当月利息、F:元金減、G:期末残高、H:上乗せ 【行の数式例(2行目以降)】 E2 = B2 * C2 / 12 F2 = MAX(D2 + H2 - E2, 0) G2 = MAX(B2 - F2, 0) 次行のB3 = G2
テンプレ(自分用メモ)
【入力】 ・初期残高:[300,000] ・年利:[0.146] ・毎月額候補:[20,000]/[25,000]/[30,000] ・上乗せ:[月初10,000](無料時間帯) 【見る指標】 ・完済月、総利息、最大月負担、返済比率
途中返済・ボーナスの入れ方
- 行H(上乗せ)に金額を入れるだけ。
- 効果は早い月ほど大(平均残高が下がる)。
- 手数料が出る場合は節約利息≧手数料を満たす時のみ実施。
よくあるズレと確認ポイント(端数処理・締切時刻・手数料)
電卓と明細が合わない典型はここ。事前に押さえると手戻りが減ります。スマホは横にスワイプ。
項目 | ズレの原因 | 確認ポイント | 対処 |
---|---|---|---|
基準日数 | 365/366の違い | 約款・ヘルプに記載 | 概算と割り切り、明細で最終確認 |
端数処理 | 切上げ/切捨て/四捨五入 | 小数点以下の扱い | 1円単位の揺れは許容 |
締切/反映時刻 | 当日扱い→翌日扱いのズレ | 当日扱いの時刻・カットオフ | 午前中に実施/時刻前に完了 |
手数料 | 節約利息を相殺 | 無料回数・時間帯・対象ATM | 無料で分割/有料は合算で1回 |
数値で見る「毎月いくらが安全?」
同じ元金・金利でも、毎月額の違いで完済月と総利息は大きく変わります。ここでは年利14.6%(概算)、元金30万円を例に比較します(端数処理・締切時刻により実務値は前後)。
毎月の返済額 | 完済までの月数(概算) | 総利息(概算) | 手取り25万円時の返済比率 | 所感 |
---|---|---|---|---|
15,000円 | 約23.1か月 | 約45,900円 | 6.0% | 期間長め。最低+上乗せの併用推奨。 |
20,000円 | 約16.7か月 | 約33,300円 | 8.0% | バランス型。手取り×10%に近い。 |
25,000円 | 約13.1か月 | 約26,300円 | 10.0% | 安全帯(快適)。短期でスッキリ。 |
30,000円 | 約10.7か月 | 約21,800円 | 12.0% | さらに短縮。ボーナス併用で一気に。 |
40,000円 | 約7.9か月 | 約16,500円 | 16.0%(上限超) | 早いが上限目安(15%)を超えがち。 |
※あくまで概算。実務は基準日数(365/366)・端数処理・カットオフで前後します。
感度分析(上乗せ・月2回化・金利の効き方)
「どの一手が一番効く?」を定量で把握します。前提:元金30万円・年利14.6%・概算。
上乗せの効き方(20,000円→+5,000/+10,000)
毎月額 | 完済まで | 総利息 | 差分(対20,000円) |
---|---|---|---|
20,000円 | 約16.7か月 | 約33,300円 | — |
25,000円(+5,000円) | 約13.1か月 | 約26,300円 | −3.6か月/−約7,000円 |
30,000円(+10,000円) | 約10.7か月 | 約21,800円 | −6.0か月/−約11,500円 |
結論:小さくても早い上乗せが効率的。月初や給料日翌の無料時間帯で実施するとムダが出ません。
月2回化(15日+末)による平均残高の低下
- 同額18,000円でも、9,000円×2回の方が平均残高が下がる。
- 当日扱いの締切前に実行すると日数カウントが短縮。
- 手数料が出るなら合算1回に切替(節約利息≧手数料)。
- 通知は前日/当日で固定。
- 被る支出(家賃・クレカ)と日付分散。
- 無料枠はアプリ優先→ATMは最小回数。
金利が変わると?(参考感度)
- 年利が1%pt上がると、同条件で総利息が数千円〜増える場合あり。
- 金利は固定できないため、早い上乗せと回数増で平均残高を抑えるのが現実解。
7日で固める“シミュ→運用”ブリッジ
計算して終わりにしない。実行できる型に落として、翌月も再現可能にします。
そのまま使えるテンプレ(関数・CSV・メモ)
コピペで使えます。角括弧を埋めてお使いください。
【毎月額から完済月(概算)】 =NPER(年利/12, -毎月額, 元金) 例:=NPER(0.146/12, -25000, 300000) 【毎月額の目安(完済したい月数から)】 =PMT(年利/12, 月数, 元金) ←結果は“−”で返るので絶対値を取る 例:=ABS(PMT(0.146/12, 12, 300000))
月,期首残高,年利,毎月額,上乗せ,当月利息,元金減,期末残高 1,300000,0.146,25000,10000,=B2*C2/12,=MAX(D2+E2-F2,0),=MAX(B2-G2,0)
【返済運用ルール】 ・返済比率=手取り[10〜12%]に収める(上限15%) ・返済日=[給料日翌]固定、[15日+末]で月2回 ・月初に[5,000〜10,000円]上乗せ(無料時間帯) ・通知=前日/当日/15日/末日/有料時は合算返済
ケース別の安全目安(手取り×10〜15%の帯で設計)
家計の波と心理的な相性を加味して、出発点となる安全帯を決めます。
- 安全:1.8万(10%)/上限目安:2.7万(15%)。
- コツ:返済日を給料日翌に寄せ、月初5,000円上乗せ。
- 安全:2.5万(10%)。
- コツ:月2回+無料時間帯で分割、遅延ゼロを継続。
- 安全:3.5万(10%)/短期完済:4.5万(13%)。
- コツ:余力がある月は+1万円を早めに投入。
- 設計は最低月の手取り×10%で。
- 繁忙月の上乗せで短縮、閑散月は最低+αで守る。
入力ミスを防ぐチェック(横スワイプ)
「電卓の数字が合わない」を減らすための、事前確認リストです。
項目 | よくあるミス | 確認ポイント | 対処 |
---|---|---|---|
年利の入力 | 14.6%を14.6と入れる | 小数で0.146に | テンプレは0.146で用意 |
端数処理 | 四捨五入と切捨ての混在 | 約款の規定を確認 | 1円の誤差は許容して管理 |
当日扱い | 締切時刻を過ぎて翌日計上 | 反映時刻・カットオフ | できれば午前中に入金 |
手数料 | 節約利息を超える | 無料回数・時間帯・対象ATM | 無料=分割/有料=合算 |
ボーナス併用・前倒し返済の効果を数値で確認(実践編)
第二パートで基本シミュレーションの手順を整理しました。ここではボーナス返済を年2回取り入れた場合や、途中で一括前倒しを入れた場合の 総利息・完済までの期間短縮を比較します。カードローンは日割計算(概ね利息=残高×年利÷365×経過日数)のため、早く元本を減らすほど利息は小さくなります。
元金50万円/年利14.5%/毎月返済15,000円/ボーナス月(6・12月)に+30,000円上乗せ
比較条件 | 毎月返済 | ボーナス併用 | 途中一括3万円×3回 |
---|---|---|---|
想定の追加返済 | なし | 年2回×30,000円 | 4・8・12月に各30,000円 |
完済目安期間 | 約42か月 | 約35〜36か月 | 約33〜34か月 |
総利息の目安 | 約145,000円 | 約120,000円 | 約112,000円 |
利息削減効果(対「毎月のみ」) | — | ▲約25,000円 | ▲約33,000円 |
※概算の目安。実際は各社の約定日・計算方法・追加返済の反映タイミングで前後します。
追加返済は「金額」よりもタイミングが重要。月末締めの会社なら月初に前倒しして残高を早く減らすと、同じ金額でも利息削減効果が大きくなります。
金利変動・返済停滞に備えるストレステスト
キャンペーン後に金利が通常水準へ戻ったり、収入変動で返済額を一時減額するケースも想定しましょう。 次のチェックを行い、破綻しにくいラインを見極めます。
チェック1:金利+1%・+2%の影響
- 年利が14.5%→15.5%に上がると、総利息は数千〜1万円規模で増加しやすい。
- 許容できるならOK。難しいなら「毎月+1,000〜2,000円」上乗せで中和。
チェック2:3か月だけ返済額を−3,000円
- 一時的な減額は完済時期の後ろ倒し&総利息の増加に直結。
- 復帰後はボーナス返済や臨時返済で遅れを取り戻す計画を同時に立てる。
安全な毎月返済額 =(手取り − 固定費)× 20〜25%。
さらに非常時のため、残高の1〜2か月分を「臨時返済原資(緊急資金)」として別口座にプールすると安心。
複数の借入がある場合の優先順位と進め方
- 金利の高い順に追加返済を集中(デットアバランチ)。
- 延滞の恐れがある口座は最優先で正常化(信用情報保全)。
- 支払い管理は「1か月の総返済額」で上限を決め、内訳を見直す。
まとめ:安全ラインは「早く減らす仕組み」と「無理のない上限」
- 利息は残高×日数で増える。早く減らすほど総利息は小さくなる。
- ボーナス併用・臨時返済はタイミングが決め手。月初・締め直後が有利になりやすい。
- 安全な毎月返済額は(手取り−固定費)×20〜25%を目安に。
- 不測時は一時減額も可。ただし復帰計画(上乗せ)とセットで。
- 複数借入は高金利から優先して追加返済を集中。
よくある質問(FAQ)
Q1. 追加返済はいつ行うのが一番お得?
ただし各社の約定日・反映基準で前後するため、会員ページの「返済反映日」を必ず確認しましょう。
Q2. ボーナス返済は年1回より年2回の方が有利?
ボーナス月以外に少額の臨時返済を併用すると更に効果的。
Q3. 一時的に返済額を下げたい時の注意点は?
下げる期間・幅を決め、復帰後の上乗せ計画(例:+2,000円/月や次ボーナス+30,000円)をセットで用意しましょう。
Q4. 金利が下がったらどう見直す?
借換(おまとめ)で手数料込みの総コストが下がるなら検討価値あり。
Q5. シミュレーションと実際がズレるのはなぜ?
- 約定日・締め日・入金反映日の差
- 日数計算(うるう年など)の違い
- 追加返済の反映タイミング
Q6. 住宅ローンや家賃との両立目安は?
Q7. 繰上げ返済の最低金額や手数料はある?
手数料がある場合は「削減できる利息 > 手数料」になるラインで判断しましょう。
Q8. 家計が不安定で先が見えない…どう設計すべき?
安定後に臨時返済・ボーナス返済で巻き返す設計に。
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