【明日から使える】広め/標準/狭めのレンジ設計テンプレを一挙公開
iサイクル2取引™の成否は「レンジ設計」で7割決まります。本稿では、運用現場で使いやすい 広め・標準・狭めの3テンプレを提示し、相場のボラ・口座資金・目標RRに応じた使い分けを明確化。 さらに見直しサインや更新タイミング、失敗例と修正例までつなげ、過学習に陥らない実務の型を示します。
この記事で分かること
- レンジ設計の前提(ボラと資金・目標RRの整合)と安全余白の考え方
- 広め/標準/狭めの3テンプレの推奨値(レンジ幅・利確幅・本数・密度)
- テンプレ選択のコツ(相場フェーズ・資金・通貨特性に合わせる手順)
- 見直しの合図と更新タイミング、失敗例→修正例の具体策
レンジ設計の結論と前提
レンジは「ボラティリティ×安全余白×運用目的」で決めます。最初に通貨ペアの直近ATR(または標準偏差)で 1日の平均変動幅を把握し、そこに安全余白(1.5〜2.0倍)を掛けて “設計レンジの最小値”を作るのが基本。資金から逆算した必要証拠金と維持率を満たしつつ、 利確幅と本数(密度)で期待回転率を調整します。
- 目的:回転重視(狭め)/バランス(標準)/ドローダウン耐性(広め)
- 利確幅:ATRの0.4〜0.8倍を目安(通貨の特性で微調整)
- 密度:同本数でも密度(ステップ幅)でリスクが変わる
- 安全余白:対レンジで15〜25%の外側に“非常口”を持つ
レンジ設計テンプレ3選(推奨初期値)
テンプレ | 想定ボラ | レンジ幅(例) | 利確幅(目安) | 本数/密度 | 向く人・目的 |
---|---|---|---|---|---|
広め | 高〜変動不安定 | 直近ATR×10〜14倍 | ATR×0.6〜0.8 | 中本数/粗め | DD耐性重視/長期 |
標準 | 中庸(通常相場) | 直近ATR×7〜10倍 | ATR×0.5〜0.7 | 中〜やや多/標準 | バランス型 |
狭め | 低ボラ/回転狙い | 直近ATR×5〜7倍 | ATR×0.4〜0.6 | 多め/細かめ | 短期回転・慣れている人 |
テンプレ共通の実装ポイント
- 中央集中:建玉密度は中心>外縁で配置(外縁は薄く)
- 段階導入:いきなり100%稼働ではなく25→50→75→100%で確認
- イベント除外:重要指標・要人発言前後は新規停止で保全
- 更新ルール:「ボラ変化」「トレンド逸脱」「維持率悪化」で見直し
サンプル(USD/JPY・標準テンプレの初期化)
- 直近20日ATRを取得(例:1.20円)
- レンジ幅=ATR×9倍=10.8円
- 利確幅=ATR×0.6=0.72円
- 本数=資金と維持率から逆算(例:20〜30本)
- 密度=中央ほど短く、外縁は長め(安全余白15〜25%)
テンプレの選び方:実務ステップで迷わない
ステップ1:ボラと方向性を判定
- 直近20日ATR(または日足の標準偏差)を取得し、1日の平均変動幅を把握。
- トレンド/レンジの判定は、移動平均の傾き+高安更新の2条件で簡易に。
- 高ボラ・不安定なら広めテンプレ、通常は標準、低ボラで回転重視は狭め。
ステップ2:資金→本数→ロットの順で決める
- 必要証拠金の上限を資金の30〜45%に抑える(維持率確保)。
- 本数は「資金×許容証拠金/1本あたり証拠金」で逆算、外縁を薄く、中心を厚く。
- ロットは1本あたりの損失許容(口座の1〜2%)から逆算する。
ステップ3:利確幅×密度=回転率の整合
- 利確幅はATR×0.4〜0.8を基点に通貨特性で微調整。
- 密度(ステップ幅)を詰めるほど回転は増えるが、含み損の溜まりやすさも増大。
- 回転率↑を狙うなら、本数<密度の最適化を先に見直すと崩れにくい。
ステップ4:安全余白と“非常口”
設計レンジの外側に15〜25%の余白を置き、段階停止ライン(例:25→50→100%縮小)を事前に文章化。 重要指標の前後60分は新規停止、広め予約+OCO以外は出さないのが基本です。
見直しサインと更新タイミング
見直しの合図(早見表)
シグナル | 観測例 | KPIの変化 | 即時対応策 | 恒久対応 |
---|---|---|---|---|
ボラ急変 | ATRが2週平均比で+30% | 維持率↓/滑り↑ | 本数25〜50%縮小 | レンジ幅を+10〜20%拡張 |
トレンド転換 | 高安更新の向きが逆転 | 回転率↓/含み損↑ | 外縁の建玉を薄く | 中心価格を再定義して再配置 |
回転鈍化 | 利確件数が▲30% | 収益/日↓ | 利確幅を−0.1ATR | 密度の再配分(中心厚め) |
維持率悪化 | 週次平均維持率が80%割れ | ロスカットリスク↑ | ロット10〜30%削減 | 本数を5〜30%削減し安全余白拡張 |
滑り増加 | 平均滑りが平常比2倍 | 実質コスト↑ | 成行を封印/IFD-OCO限定 | 混雑帯の稼働窓を短縮 |
週次レビューのKPI
- 収益/週、実質コスト比(スプレッド+滑り+手数)
- 回転数(利確件数/週)、平均利確幅、稼働率
- 最大含み損、平均維持率、アラート発生回数
- 「閾値超過→是正アクション」をチェックリスト化して機械的に実行
ケーススタディ:失敗例→修正例
ケース1:レンジが狭すぎて外縁で滞留
症状:利確が極端に減り、外縁側に建玉が溜まって維持率が急低下。
原因:ATR×5倍の狭め設定を高ボラ局面でも据え置き。
修正:レンジをATR×9倍へ拡張、外縁本数を▲40%、利確幅を−0.1ATR。
ケース2:密度過多で含み損が蓄積
症状:回転はあるが含み損が先行、維持率が不安定。
原因:中心も外縁も同密度で配置。
修正:中心:外縁=7:3へ再配分、外縁のステップ幅を+30%広げる。
ケース3:回転鈍化で月間収益が目標未達
症状:利確件数が減り、実質利回りが鈍化。
原因:低ボラなのに利確幅が大きい。
修正:利確幅をATR×0.6→0.45へ調整、中心密度を+20%、混雑帯の稼働時間を短縮。
数値フレーム:小さく試して、大きく間違えない
計算の骨格(簡易)
- レンジ幅=ATR×(5〜14)
- 利確幅=ATR×(0.4〜0.8)
- 必要証拠金総量 ≒ 1本証拠金×本数(上限は資金の30〜45%)
- 期待回転/週 ≒(通貨の平均往復数÷利確幅)×中心密度係数
サンプル(資金50万円・USD/JPY・標準)
項目 | 設定値 | メモ |
---|---|---|
ATR | 1.20円 | 直近20日 |
レンジ幅 | ATR×9=10.8円 | 標準テンプレ |
利確幅 | ATR×0.6=0.72円 | 回転とコストの中庸 |
本数/密度 | 24本/中心厚め | 外縁を薄く |
必要証拠金総量 | 資金の約35% | 維持率に余裕を残す |
期待回転/週 | 概算:10〜16回 | 相場の往復数に依存 |
導入フロー(初週〜4週)
- 週1:25%稼働でKPI確認(回転・滑り・維持率)
- 週2:50%へ増、外縁の薄さを保つ
- 週3:75%へ、回転鈍化なら利確幅を−0.05〜0.1ATR
- 週4:100%へ、KPIが閾値内なら維持/超過なら修正
運用を崩さないための基本ルール
① 稼働と停止の“事前定義”を文章化
- 停止トリガー:重要指標前後60分/平均滑り×2倍以上/維持率80%割れ
- 縮小手順:25%→50%→75%→100%の段階縮小・再開を徹底
- 例外処理:介入・地政学急変は新規停止+外縁薄化で対応
② KPI監視は“週1回・同じ指標”で
- 回転数/週・平均利確幅・実質コスト比(スプレッド+滑り+手数)
- 最大含み損・維持率平均・アラート回数(増加=要縮小/再配置)
- 遵守率(ルール逸脱件数)を数値化し、改善テーマを1つに絞る
③ ロット調整は“勝っても慎重・負けても段階”
増ロット条件は4週連続でKPI閾値内+維持率平均120%以上。
減ロットは閾値1つ超過で即10〜30%。戻すのは2週安定後に限定。
チェックリスト&標準フロー
週次レビュー・チェックリスト
項目 | 基準値 | 超過時アクション |
---|---|---|
平均滑り | 平常期比 ×1.5以内 | 発注間隔延長/外縁薄化/成行封印 |
維持率平均 | 120%以上 | ロット▲10〜30%、利確幅−0.05ATRで回転回復 |
回転数/週 | 目標の80%以上 | 密度再配分(中心厚め)/利確幅−0.1ATR |
最大含み損 | 資金の10〜15%以内 | 本数▲25%、レンジ+10〜20%拡張 |
遵守率 | 95%以上 | 作業削減/手順の3行要約を再徹底 |
月次の設定見直しフロー
- 集計:4週分のKPIと稼働ログをダッシュボード化
- 診断:「回転不足」「コスト悪化」「含み損蓄積」の型に分類
- 是正:利確幅±0.05〜0.1ATR/密度再配分/レンジ±10〜20%
- 検証:翌週を75%稼働で評価→問題なければ100%へ
まとめ
本記事では、広め/標準/狭めのレンジ設計テンプレと、選び方→更新→失敗修正までの実務フレームを提示しました。
要点は3つ:① ATR起点の数値化、② 外縁を薄く中心を厚く、③ 段階縮小・段階再開。
大きく勝とうと設計を詰めすぎるより、崩れにくさ=継続可能性を優先したほうが通算の実質利回りは安定します。
まずは25%稼働で小さく試し、KPIに沿って機械的に調整する習慣を作りましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. テンプレはどれから始めるべき?
初心者は標準から。回転不足なら狭め寄り、含み損が溜まるなら広め寄りに少しずつ振り、月次で元に戻すのが基本です。
Q2. 利確幅は固定?相場に合わせて変える?
週次のATRに連動して±0.05〜0.1ATR範囲で微調整し、月次で基準値を見直す運用が現実的です。日次変更は過剰最適化になりがち。
Q3. ロットはいつ増やしていい?
4週連続でKPI閾値内+維持率120%以上を満たした後に10〜20%ずつ。逆に閾値超過が出たら即時10〜30%削減が原則です。
Q4. 相場急変時はどうする?
新規停止+外縁薄化+成行封印で守り優先。落ち着いたら25%→50%→75%→100%と段階再開、各段階でKPIを確認します。
Q5. どの通貨から始める?
基本はUSD/JPYの標準テンプレ。慣れたら相関が低めのEUR/USDなどへ拡張し、高金利通貨は最後に小さく追加します。
Q6. バックテストは必要?
必須ではありませんが、過去相場で大外れしないかの確認に有効。スプレッド+滑りを上乗せし、フォワード検証→小ロット本番の順で進めましょう。
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