【最適設定の答え】レンジ幅・利確幅・本数を“相場×通貨”で使い分ける
同じiサイクル2取引™でも、相場のボラティリティや通貨の性格が変わればベスト設定は変わります。本稿は外為オンラインでの運用を前提に、広め/標準/狭めの3テンプレを起点に、過密で捕まらない・利確が空振りしない設計へ調整する手順を解説。検証→本番→再調整まで、“負けにくい設定作り”を実務レベルで落とし込みます。
この記事で分かること
- 用途別テンプレ3型(広め/標準/狭め)の具体値と使い分け
- レンジ幅・利確幅・本数・ステップの決め方と連動関係
- 通貨特性(USD/JPY・AUD/JPY・GBP/JPY等)に合わせた調整例
- 検証→本番反映→再調整の運用フローとKPI
- 過学習回避と“捕まらないための”密度管理のコツ
結論:広め/標準/狭めの3テンプレから始めて微調整
スタートは「標準」、ボラ上昇や通貨の癖に応じて「広め」へ退避、回転が鈍いときのみ「狭め」に寄せるのが基本線。下記は目安であり、必ず実口座のスプレッド/滑りを含む実質コストで再計算してください。
標準(基軸)
- レンジ幅:直近3〜6か月の値幅×60〜80%
- 利確幅:12〜20pips(USD/JPY基準)
- 本数:20〜30(上下端は密度を落とす)
- ステップ:レンジ÷本数で均等or端ゆるめ
- 用途:平均的なボラ/検証〜本番の標準形
広め(守り)
- レンジ幅:直近6〜12か月の値幅×80〜100%
- 利確幅:18〜30pips(通貨で可変)
- 本数:15〜25(過密回避)
- ステップ:中心密度やや高め/端は粗め
- 用途:高ボラ・イベント期・捕まり回避
狭め(攻め)
- レンジ幅:直近1〜3か月の値幅×40〜60%
- 利確幅:8〜14pips(実質コストの3〜4倍目安)
- 本数:25〜40(ただし端の密度は落とす)
- ステップ:均等系。過密は厳禁
- 用途:低ボラ・回転強化・短期検証
※スマホでは横にスライドしてカードを確認できます。
パラメータの考え方:4つは連動して最適化する
- レンジ幅:直近の実勢ボラに連動。イベント期は広めで捕まりを避ける。
- 利確幅:実質コスト(スプレッド+滑り)×3〜4倍を最低ラインに。
- 本数:回転と含み損のトレードオフ。上下端の密度は必ず落とす。
- ステップ:均等が基本。トレンド気味は順方向側の密度を意図的に薄く。
テンプレ早見表(通貨別の初期目安)
下表は“初期設定の入口”です。必ず実口座の配信・滑りで微修正してください。
通貨ペア | 推奨テンプレ | レンジ幅の入口 | 利確幅の入口 | 本数の入口 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
USD/JPY | 標準→広め | 3〜6か月値幅×70% | 12〜18pips | 20〜30 | 情報豊富/イベント時は広めへ |
EUR/JPY | 標準 | 3〜6か月×60〜70% | 12〜20pips | 20〜30 | USD/JPYとゾーンが被り過ぎないよう調整 |
AUD/JPY | 広め | 6〜12か月×80% | 16〜24pips | 15〜25 | 資源・中国ニュース時は密度を下げる |
GBP/JPY | 広め(最小ロット) | 6〜12か月×90〜100% | 20〜30pips | 10〜20 | 過密禁止/急変時は最初に新規OFF |
検証→本番→再調整の運用フロー(“測って直す”を仕組みに)
設定は一度で完成しません。①検証→②本番の小ロット移行→③再調整の三段運用で、数字(KPI)で良否を判定して微修正します。体感や印象ではなく、回転効率・実質コスト・最大ドローダウンの3軸を主指標に据えましょう。
- 検証(2〜6か月の過去区間):イベント週を含む複数フェーズで回す。過学習を避けるため期間を分割し、ウォークフォワード気味に検証。
- 小ロット本番(2〜4週):検証設定をそのまま採用。利確幅=実質コストの3〜4倍が崩れていないか確認。
- 再調整(10〜20%だけ動かす):回転不足→狭めへ、捕まり兆候→広めへ。一気に変えないのが鉄則。
KPIの基準値(最初の目安)
下表は“入口の目安”です。通貨・相場により揺れますが、定点で同じ指標を追うことが重要です。
指標 | 定義 | 入口の目安 | 着眼点 |
---|---|---|---|
回転効率 | 月間約定回数 ÷(本数×稼働週) | 0.8〜1.5 | 低すぎ→狭め/密度調整 高すぎ→含み損拡大に注意 |
実質コスト倍率 | 利確幅 ÷(スプレッド+滑り) | 3.0〜4.0 | 3未満は利確幅不足の疑い |
最大DD(維持率) | 期間最大の含み損/維持率の最低値 | 維持率200%以上を常時確保 | 170%近辺が常態化→広め/本数減へ |
遵守率 | 「停止・新規OFF・数量削減」の発動ルール遵守率 | 95%以上 | 裁量介入で崩れがちなKPI。行動を数値管理 |
通貨別の調整ガイド(癖に合わせて微差を積む)
同じテンプレでも通貨特性で手触りが変わります。下表は最初に起きやすいズレと修正の対照表です。“症状→処方”の順で判断し、10〜20%の範囲で淡々と補正をかけます。
通貨ペア | 起きやすい症状 | 主な原因 | 修正レシピ |
---|---|---|---|
USD/JPY | 指標前後に空振り(利確寸前で反転) | 利確幅が実質コスト比で低い | 利確幅を+2〜4pips/イベント時は新規OFF |
EUR/JPY | USD/JPYと同時に捕まり気味 | レンジのゾーンが被り過ぎ | EUR側のレンジ中心をシフト/本数-2〜5 |
AUD/JPY | ニュースで一方向に伸びやすい | 資源・中国関連ヘッドライン | 広めテンプレへ/端の密度を減らす |
GBP/JPY | 含み損が急膨張しやすい | ボラが高い/過密配置 | 本数-5〜10/利確+4〜6pips/最小ロット徹底 |
密度とロット配分:“端が薄い”が基本設計
捕まりの多くは上下端に密度を持たせすぎで起きます。レンジ中央は薄利でも回転が利き、端は数が少なくても値幅が伸びて利確が大きいため、中央やや厚め/端薄めがセオリーです。さらにロット配分も中央>端とし、危険域ほどロットを軽くする設計が有効です。
ゾーン | 注文本数の目安 | ロット配分 | 備考 |
---|---|---|---|
中央(±25%) | 全体の50〜60% | 基準ロット(1.0×) | 往復の核。回転重視で利確は基準値 |
中間(±25〜40%) | 全体の30〜35% | 0.7〜0.8× | トレンド気味なら密度を落とす |
端(±40〜50%) | 全体の10〜15% | 0.5×以下 | 過密禁止/イベント時は新規OFFの最優先ゾーン |
利確幅と実質コストの整合性(式で点検)
1トレードの期待値はおおまかに利確幅 −(スプレッド+平均滑り)で表わされます。たとえばUSD/JPYでスプレッド0.2p、平均滑り0.3pなら実質コストは0.5p。利確幅を12pに設定すると、12 − 0.5 = 11.5pが“1回あたりの理論利得”の入口です。これに回転数(約定回数)を掛けて月間の粗利を概算し、回転が鈍いなら利確を下げるのではなく、密度やレンジの調整から手をつけるのがセオリーです。
イベント週・通信不安時の“守りの3手”
- 新規OFFを先に押す: 保有の整理より先に増やさないを徹底。
- 利確幅+20〜30%: スプレッド拡大を見越し、実質コスト倍率の維持を優先。
- 端の注文を一時停止: 捕まりやすいゾーンから一時退避。復帰は段階的に。
失敗例→修正レシピ(やらかしを前提に用意)
失敗パターン | 症状 | 即時対処 | 恒久対策 |
---|---|---|---|
過密配置 | 含み損が想定以上に膨張 | 端ゾーン新規OFF/本数-20% | 中央厚め・端薄めの配分に固定 |
利確幅が小さい | コスト比2倍台/収益が伸びない | 利確+2〜4p/イベント週は+20% | “3.5倍目安”の固定ルールを設定 |
多通貨のレンジ被り | 同時に捕まりやすい | 弱い方を新規OFF | 中心シフト/相関の高い組合せを避ける |
再現性を上げる“記録テンプレ”
設定を変えた理由と結果を1行で残せると、改善サイクルが回り始めます。以下は最小構成の記録フォーマット例です。
日付 | 通貨/設定 | 変更点 | 理由(症状) | 結果(2週) | 次の一手 |
---|---|---|---|---|---|
2025-09-01 | USD/JPY 標準→広め | 本数-4/利確+2p | 回転過多で含み損増 | 維持率安定/回転-10% | 現状維持で様子見 |
ケーススタディ:資金・相場フェーズ別に微調整する
ここでは iサイクル2取引™ の「広め/標準/狭め」テンプレを、資金規模と相場フェーズ(レンジ/緩やかトレンド/高ボラ)でどう使い分けるかを具体化します。“広め=守り”“狭め=攻め”の原則を崩さず、一度に動かすのは10〜20%以内で段階調整してください。
前提 | 推奨テンプレ | 主な狙い | 微調整とトリガー |
---|---|---|---|
資金10〜30万円/初月 | 標準(本数控えめ) | 回転の感触と維持率の把握 | 維持率が常時200%超なら本数+10%、170%近辺なら本数-10% |
資金50〜100万円/複数通貨 | 標準+一部広め | 通貨分散でDD平準化 | 相関が高い組合せは中心レンジをずらす(被り回避) |
レンジ相場(過去2か月の回帰強) | 狭め(中央厚め/端薄め) | 回転数最大化 | コスト倍率が3倍割れなら利確+2〜4p、端ゾーンは新規OFFも検討 |
緩やかトレンド(回帰弱) | 広め(本数-10〜20%) | 含み損の偏り回避 | 含み損増が続く側の端ゾーンを停止、中心をトレンド方向へシフト |
高ボラ期(イベント集中) | 広め+新規OFF併用 | ドローダウン抑制 | 利確幅+20〜30%、回復を待って段階的に通常へ復帰 |
通貨ごとの“最初にハマる罠”と処方箋
通貨ペア | ありがちな罠 | 初手の対処 | 恒久対策 |
---|---|---|---|
USD/JPY | イベント前後の“利確目前反転” | イベント時は新規OFF、利確+2〜4p | コスト倍率3.5〜4.0維持を定常化 |
EUR/JPY | USD/JPYと同時に捕まりやすい | 中心レンジをずらす/本数-10% | 高相関同時稼働を避ける設計に |
GBP/JPY | ボラでDDが跳ねやすい | 広め+端薄め/ロット0.5× | 利確+4〜6p、検証でも“広め”を基準 |
AUD/JPY | ヘッドラインで片寄りやすい | 端ゾーンを間引く | 資源・中国関連週は新規OFF運用へ |
30日改善計画:数字で“測って直す”を習慣化
初月の30日は観測と極小修正に徹します。以下のロードマップをコピペしてタスク化してください。
- Day1–3: 検証設定を小ロットで本番投入。KPIの初期値を記録(回転効率/実質コスト倍率/維持率/遵守率)。
- Day4–10: 端ゾーンの新規OFFを基本に、維持率170%接近なら本数-10%。利確はコスト×3.5倍死守。
- Day11–17: 回転効率0.8未満が続けば中央の密度を+10%、0.8〜1.5で安定なら据え置き。
- Day18–24: 通貨間の被りをチェック。重複が大きい方の中心レンジを1〜2段階シフト。
- Day25–30: KPI週次比較→改善が停滞していれば“1箇所だけ”を変更(本数±10%または利確±2p)。
“やめるルール”が設計の完成度を上げる
- 維持率が170%を2営業日連続で下回ったら新規OFF(例外なし)。
- イベントカレンダー登録(雇用統計・FOMC・CPIなど)は前日18時に通知確認。
- スマホ回線が不安定な場所では発注しない(閲覧のみに制限)。
まとめ:テンプレは“軸”、運用は“小さな修正”の積み重ね
本記事のポイントは3つ。①広め/標準/狭めの使い分けで相場フェーズに順応し、②利確幅と実質コストの倍率(3.5〜4.0)を守り、③KPIで測って10〜20%だけ修正する。iサイクル2取引™ は“置けば勝てる”自動機ではありません。数字で見て、原因に対して最小量を動かす。この作業が積み上がるほど、ドローダウンは穏やかに、資金曲線はなだらかに右肩へ向かいます。今日からまず、停止ルールと記録テンプレを一行で用意し、最初の30日を設計どおりに過ごしましょう。
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