「トラリピ」と「ループイフダン」は、国内で人気の高いリピート系FX自動売買の双璧です。どちらも“あらかじめ決めたルールで自動的に売買を繰り返す”という点は同じですが、仕組み・設定の自由度・コスト・向いている相場に違いがあります。
本記事では、マネースクエアの「トラリピ」とアイネット証券の「ループイフダン」を、初心者にもわかるよう噛み砕いて徹底比較。
それぞれの強み・弱み、どんな投資家に向いているのか、実運用をイメージしやすいように具体例や比較表を交えながら解説します。
▶ この記事で分かること
- トラリピ/ループイフダンの基本と共通点・相違点
- 仕組み(発注・利確・損切り)と設定自由度の違い
- コスト・通貨ペア・最小取引単位など取引条件の比較
- どんな相場・どんな投資家に向いているのか
- 実運用を想定した使い分けのコツ
トラリピとループイフダンの基本概要
まずは両者の“共通する骨格”を押さえましょう。どちらもリピート系自動売買で、一定の価格間隔で注文を敷き、相場の上下でコツコツ利確を重ねる設計です。裁量トレードのようにチャートに張り付く必要がなく、「時間を味方にする」運用スタイルを実現できます。
ただし、設計思想は少し異なります。トラリピは“自由設計の職人型”、ループイフダンは“選んでラクする家電型”と捉えるとイメージしやすいでしょう。
トラリピ(マネースクエア)の特徴
- レンジ×本数×間隔×ロット×利確幅を投資家が細かく設計できる“カスタム性の高さ”が最大の魅力。
- レンジの上下を非対称にしたり(ハーフ&ハーフ)、中心価格付近に厚く仕掛けるなど戦略の作り込みが得意。
- 中長期のレンジ相場を想定した放置+定期点検の運用にマッチ。
ループイフダン(アイネット証券)の特徴
- あらかじめ用意された売買ロジック(買い・売り×値幅)を選ぶだけのプリセット型。初期ハードルが低い。
- 細かなパラメータ設計は不要で、短時間で立ち上げやすい。メンテ負荷も小さい。
- 設計自由度は低いが、シンプルに続けることが目的なら十分に戦える。
仕組みの違いを整理:発注・利確・損切り・自由度
次に、日々の運用で効いてくる“動き方の差”を具体的に見ていきます。
発注ロジック・利確(Take Profit)・損切り(ストップ)・設定自由度の4視点で比較すると、自分の性格と相場観に合うツールが見えてきます。
発注方法の違い:自由設計か、プリセットか
トラリピ:投資家が決めた価格帯に、任意の本数・間隔で注文を網状に配置。たとえば「85〜95円に0.2円刻みで買い20本、95〜100円に0.5円刻みで売り10本」など非対称・多層な構築も可能。
ループイフダン:「買い(または売り)×値幅(pips)」のロジックを選ぶプリセット型。細かな最適化は不要だが、極端に細かい“攻めた設計”はできない。
利確と損切り:自動の“気持ちよさ”と“守り”の設計
利確:どちらも設定利幅に達すると自動決済。トラリピは戦略によって利確幅を細かく最適化しやすい。ループイフダンは値幅(ロジック)に内包。
損切り:どちらも証拠金維持率が下がるとロスカットの可能性。トラリピは“広いレンジ×控えめロット”で守りを厚くしやすく、ループは“値幅と方向の選び方”で守る。
設定自由度:作り込む楽しさか、簡単さか
- トラリピ:自由度が高く、自分の“相場観”を形にできる。工夫余地が大きい反面、最初は迷いやすい。
- ループイフダン:プリセットを選ぶだけなので、迷わず始めやすい。反面、細かい最適化は難しい。
主要ポイントの比較表(概要)
比較項目 | トラリピ(マネースクエア) | ループイフダン(アイネット証券) |
---|---|---|
設計思想 | 自由設計の“職人型”。レンジ・本数・間隔・利確幅を細かく作り込める | プリセット選択の“家電型”。買い/売り×値幅を選ぶだけで稼働 |
向く相場 | 中長期のレンジ相場。中心価格付近が活発に往来する局面 | レンジ~緩やかなトレンド。シンプルに続けたい局面 |
設定自由度 | 高い(非対称配置・多層レンジ・利確幅最適化など) | 中(ロジック選択と本数調整が中心) |
立ち上げ難易度 | 中~やや高(最初はサンプル戦略の活用推奨) | 低(短時間で稼働、迷いにくい) |
メンテナンス | 定期点検でレンジ・本数最適化。工夫の余地が大きい | 基本は放置でOK。相場急変時にロジック入替で対応 |
学習コスト | 知るほど伸びる“上達余地”。戦略設計が好きな人に◎ | 低く抑えられる。まずは“続ける”ことを重視する人に◎ |
どっちを選ぶ?使い分け早見ガイド
- 短時間で始めたい/とにかく簡単に:ループイフダン
- 自分の相場観を反映したい/戦略を作り込みたい:トラリピ
- 中長期のレンジを想定/非対称レンジや多層設計を使いたい:トラリピ
- まずは小さく始めて継続重視:ループイフダン
相場環境と相性の考え方
リピート系の根幹は“行って来い”の値動きで利確を積み上げること。
はっきりした片方向トレンドが続くと含み損を抱えやすく、レンジ外に外れたままだと機会損失も生じます。
そのため、広めのレンジ設計+控えめロットで守りを厚くするのが共通の基本。トラリピはそこを細かく作り込みやすく、ループはロジック切替で対応する、という違いがあります。
取引条件の違い:手数料・スプレッド・最小取引単位
実際の運用コストや投資効率を左右するのが、手数料・スプレッド・最小取引単位といった取引条件です。
これらはパフォーマンスに直結するため、事前にしっかり比較しておく必要があります。
手数料とスプレッド
トラリピは一部通貨ペアで手数料がかかりますが、その分スプレッドは比較的安定しており、長期運用前提でのトータルコストは抑えられます。
ループイフダンは手数料無料ですが、スプレッドは通貨ペアによって変動し、短期売買が多い場合にはコストが蓄積しやすくなります。
項目 | トラリピ(マネースクエア) | ループイフダン(アイネット証券) |
---|---|---|
手数料 | 一部通貨ペアであり(例:AUD/NZD)。キャンペーンで無料の場合あり | 全通貨ペア無料 |
スプレッド | 固定スプレッドが多く安定 | 変動スプレッドあり。相場急変時は広がる場合あり |
取引コスト総合評価 | 中~低(長期運用向け) | 低(条件次第では中) |
最小取引単位と資金の柔軟性
- トラリピ:1,000通貨単位(南アランド/円など一部は10,000通貨)
- ループイフダン:1,000通貨単位
どちらも1,000通貨単位から運用可能なため、少額での試運転がしやすいのは共通のメリットです。特に初心者は、いきなり全力ではなく小ロット×広レンジで始めるのがおすすめです。
取扱通貨ペア数の違い
通貨ペアの選択肢が広いほど、相場環境や戦略に応じたポートフォリオ構築がしやすくなります。
項目 | トラリピ | ループイフダン |
---|---|---|
取扱通貨ペア数 | 18ペア(クロス円・クロスカレンシー含む) | 50ペア以上(クロス円・外貨同士) |
特徴的なペア | AUD/NZD、EUR/GBPなどレンジ型に向く通貨が豊富 | マイナー通貨や新興国通貨も多く取扱い |
おすすめ通貨ペアと理由
トラリピでは特に、レンジ相場を形成しやすい以下のペアが人気です。
- AUD/NZD:オーストラリアとニュージーランドの経済は連動性が高く、レンジ相場になりやすい。
- EUR/GBP:経済的関連性の高い欧州通貨同士で、レンジ型運用に適する。
- USD/CAD:隣国同士で原油価格との連動性も高く、安定した値動きが期待できる。
スワップポイントの違い
長期運用ではスワップポイントも無視できません。
トラリピはスワップがやや低めに設定される傾向があり、ループイフダンはペアによってプラススワップが大きい場合があります。
シミュレーション比較:年間の取引コスト試算
例として、豪ドル/NZドルを0.1円刻みで20本、1,000通貨単位で稼働した場合の年間コストを概算してみます。
項目 | トラリピ | ループイフダン |
---|---|---|
手数料(AUD/NZD) | 片道40円×取引回数 | 無料 |
スプレッド影響 | 0.6pips×回数 | 1.0pips×回数 |
総合コスト | 長期で見ると手数料よりスプレッド安定性が有利 | 短期多回転なら手数料無料が有利 |
投資スタイル別の向き・不向き
- 戦略構築を楽しめる/相場分析が好き:トラリピ
- シンプルに継続運用したい/時間がない:ループイフダン
- コスト最小化を重視:相場次第で使い分け
まとめ:トラリピとループイフダン、どちらを選ぶべき?
トラリピとループイフダンは、どちらも自動売買でFXを運用できる魅力的なサービスですが、特徴や向き・不向きが明確に異なります。
- トラリピ:細かい設定やレンジ設計にこだわりたい方、長期安定運用を目指す方に向く
- ループイフダン:設定のシンプルさを求める方、すぐに運用を開始したい方に向く
特に、戦略構築の楽しさやレンジ型運用の最適化を求めるならトラリピがおすすめです。一方、操作の簡便さとすぐに稼働できるスピード感を重視するならループイフダンが良いでしょう。
最終的には、自分の投資スタイル・リスク許容度・運用資金を踏まえて選択することが重要です。
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