FX自動売買の人気が高まる中、特に注目されているのが マネースクエアの「トラリピ」 と、インヴァスト証券が提供する 「トライオートFX」 です。
どちらも初心者から上級者まで幅広く利用されており、放置型運用からアクティブ運用まで対応可能ですが、その仕組み・得意分野・収益性・コストには大きな違いがあります。
本記事では、実績データやシミュレーションを交えて、両サービスの特徴を徹底比較。自分に合った選び方のヒントを提供します。
この記事で分かること
- トラリピとトライオートFXの基本的な仕組みと特徴
- 収益性の違いと運用シミュレーション結果
- レンジ相場とトレンド相場での向き不向き
- 自分の投資スタイルに合うサービスの選び方
トラリピとトライオートFXの基本概要
まずは両者の基本的な特徴を整理しましょう。どちらも自動売買を可能にするFXサービスですが、発注方式や得意相場、カスタマイズ性などに違いがあります。
項目 | トラリピ(マネースクエア) | トライオートFX(インヴァスト証券) |
発注方式 | トラップリピートイフダン方式(価格帯に複数の注文を設置) | 自動売買セレクト方式(戦略を選んで稼働) |
得意な相場 | レンジ相場に強い | トレンド相場も狙える |
カスタマイズ性 | 高い(細かいレンジ・数量設定可能) | 中程度(選択式+一部調整可) |
運用スタイル | 長期・放置型向き | 中短期・高回転型向き |
まとめると、トラリピは「長期のレンジ相場でコツコツ利益を積み上げたい人」、トライオートFXは「相場の流れに乗って利益を狙いたい人」に向いています。
収益性の比較
実際に儲かるのはどちらなのか?これは投資家が最も知りたいポイントでしょう。ここでは、過去の相場データと想定条件を用いてシミュレーションを行い、収益性の傾向を比較します。
シミュレーション条件
- 運用資金:100万円
- 対象通貨ペア:豪ドル/NZドル(AUD/NZD)
- 運用期間:過去3年間
- トラリピ:レンジ幅1.05〜1.10、0.1Lot単位
- トライオートFX:自動売買セレクト「コアレンジャー」設定
結果比較
項目 | トラリピ | トライオートFX |
総利益 | +38万円 | +42万円 |
年間平均利回り | 12.6% | 14.0% |
最大含み損 | -20万円 | -28万円 |
安定度 | 高い | 中程度 |
シミュレーションではトライオートFXがやや高いリターンを示しましたが、その分含み損が大きく、値動きの影響を受けやすい傾向が見られました。
一方、トラリピは収益性はやや劣るものの、安定性が高く長期運用向きと言えます。
レンジ相場・トレンド相場での違い
- レンジ相場: トラリピが有利。コツコツ利益を積み上げる戦略が活きる。
- トレンド相場: トライオートFXが有利。相場の勢いに乗って大きな利益を狙える。
このように、どちらが儲かるかは相場の状況と投資スタイルによって異なるため、一概に優劣を決めることはできません。
手数料・スプレッド・スワップポイントの比較
自動売買を長期で行う場合、コスト構造は収益性に直結します。ここでは、トラリピとトライオートFXの手数料・スプレッド・スワップポイントを比較します。
手数料の違い
項目 | トラリピ(マネースクエア) | トライオートFX(インヴァスト証券) |
取引手数料 | 無料(すべての通貨ペア) | 無料(自動売買も裁量取引も) |
口座開設・維持費 | 無料 | 無料 |
どちらも手数料は無料ですが、実質的なコストはスプレッドに含まれるため、次にスプレッドを比較します。
スプレッド比較
通貨ペア | トラリピ | トライオートFX |
米ドル/円 | 0.3〜0.5銭程度 | 0.3銭程度 |
豪ドル/NZドル | 5.0pips程度 | 4.8pips程度 |
ユーロ/円 | 0.4〜0.6銭程度 | 0.4銭程度 |
スプレッドではトライオートFXが若干有利な傾向がありますが、これは短期取引や高頻度売買において特に影響します。
トラリピは長期運用が前提のため、多少のスプレッド差は影響が小さい傾向があります。
スワップポイント比較
スワップポイントは通貨ペアや市場状況で変動しますが、一般的にトライオートFXはやや高めに設定されることが多いです。ただし、トラリピは長期レンジ運用でスワップ差損が発生する場合でも、値幅利益でカバーできる戦略を組みやすい点が特徴です。
対応通貨ペアと運用向き戦略
トラリピとトライオートFXは、それぞれ取り扱い通貨ペアと推奨戦略に違いがあります。
自分の運用スタイルに合った通貨ペア選びが、収益性向上のカギとなります。
取り扱い通貨ペア
サービス | 主な通貨ペア | 特徴 |
トラリピ | 豪ドル/NZドル、ユーロ/英ポンド、米ドル/円、カナダドル/円 など | レンジ形成しやすい通貨が多く、長期放置型に適する |
トライオートFX | 米ドル/円、豪ドル/円、ユーロ/米ドル、ポンド/米ドル など | トレンド追随型や高回転型の戦略が組みやすい |
人気通貨ペアの例と理由
- 豪ドル/NZドル(AUD/NZD): 経済的に近い国同士でレンジ相場を形成しやすい。
- ユーロ/英ポンド(EUR/GBP): 安定的な値動きとレンジ形成のしやすさ。
- 米ドル/円(USD/JPY): 世界で最も取引量が多く、スプレッドが狭い。
運用事例で見る収益性
ここでは実際のユーザー運用事例(シミュレーション含む)を元に、どちらのサービスがどのような状況で利益を出しやすいかを紹介します。
事例1:レンジ相場での長期運用(豪ドル/NZドル)
- 期間:2020年〜2024年
- 初期資金:200万円
- トラリピ戦略:1.03〜1.09のレンジで0.1Lot間隔の注文
- 結果:累計利益 +85万円、最大含み損 -40万円
長期的に安定した利益を出し、ほぼ完全放置での運用が可能でした。
事例2:トレンド相場での短期運用(米ドル/円)
- 期間:2022年1月〜2022年12月
- 初期資金:100万円
- トライオートFX戦略:上昇トレンドに合わせたコアレンジャー設定
- 結果:累計利益 +40万円、最大含み損 -25万円
相場の流れを掴んだときの爆発力は魅力ですが、相場が急変した場合の損失リスクも伴います。
安全性・リスク管理機能の違い
自動売買で最も重要なのは資金管理です。両サービスともリスク管理機能を備えていますが、使い勝手に違いがあります。
トラリピのリスク管理
- 「らくトラ試算表」で運用前に損益シミュレーション可能
- レンジ外の急変動にも対応できるような資金配分が推奨される
- 長期的に含み損を許容しながら利益を狙う運用設計
トライオートFXのリスク管理
- 証拠金シミュレーターで安全度を確認可能
- 損切り設定を細かく調整できる
- 短期的な相場急変にも機動的に対応しやすい
まとめると、トラリピは「含み損を許容しつつ長期保有」、トライオートFXは「損切りでリスクを限定しながら回転売買」という違いがあります。
どんな人に向いているか(投資スタイル別マッチング)
ここまでの比較を踏まえ、投資スタイル・性格・可処分時間・資金規模の観点から最適な選択を整理します。自分の「続けやすさ」を基準に選ぶと、成績のブレを抑えやすくなります。
タイプ | 向いているサービス | 理由 | 注意点 |
---|---|---|---|
時間がない/放置型志向 | トラリピ | レンジ前提の自動売買で、定期点検だけで続けやすい | 広めのレンジと控えめロットでロスカット余裕を確保 |
相場の流れに乗りたい/短期も狙いたい | トライオートFX | 戦略セレクトでトレンド追随がしやすい | 指標前後や急変時はロジック見直し・損切り管理を |
戦略設計が好き/自分の相場観を反映したい | トラリピ | レンジ幅・本数・利確幅などカスタム余地が大きい | 設計し過ぎてリスクが偏らないよう分散を意識 |
まずは小さく試したい/学習コストを抑えたい | トライオートFX | プリセット選択で立ち上げが速い | 万能ではないので思惑外れ時は早めに停止・調整 |
判断を助けるチェックリスト
- 週1回の確認で回したい → トラリピ寄り
- 月次で設定を微調整しても良い → どちらでもOK
- トレンド相場で取りこぼしたくない → トライオートFX寄り
- 含み損を抱えながらでもレンジ回帰で回収を狙える → トラリピ適性
- 損切りを明確化し回転数を稼ぎたい → トライオートFX適性
併用という選択肢(分散と相場適応力の両立)
一方を選ぶ必要はありません。「コア=トラリピ」+「サテライト=トライオートFX」の併用で、レンジ期の安定収益とトレンド期の上乗せを狙う設計も有効です。
- 資金配分の例: コア70%(トラリピ/AUDNZD・EURGBPなど)、サテライト30%(トライオートFX/USDJPY等のトレンド)
- 見直し頻度: 四半期ごとにトレンド・ボラティリティを確認し、サテライト側のロジックを入替
- メリット: どちらか一方の相場不利を他方が補完
- 注意: 同時に過度なポジションを抱えないよう最大ドローダウン目標を設定
設定の参考:安全域を広げる資金設計
自動売買の失敗は資金余力の不足から起こることが多いです。証拠金維持率の目安を事前に決め、最低でも200%(推奨300〜500%)を維持できるロットで始めましょう。
初期資金の目安 | 想定ポジション例 | 維持率目標 | コメント |
---|---|---|---|
30〜50万円 | 1,000通貨×数本で試運転 | 500%前後 | まずは稼働挙動を学ぶ段階。広めレンジ×小ロット |
100〜150万円 | 1,000通貨×多本数(段階的拡張) | 300〜500% | 分散レンジや通貨分散を開始しやすい規模 |
200万円〜 | 複数レンジ・複数ペア併用 | 300%以上 | 相場局面ごとにポジション厚みを再配分 |
※上表は一例。相場状況・証拠金率・各社仕様により変動します。
よくある失敗と回避策
- レンジを狭く取りすぎる:少しのトレンドで稼働停止 → 過去チャートで70〜80%滞在帯を参考に広め設計
- ロット過多:維持率が急低下 → 利益は遅くてもいいからロットを控えめに。段階的に増やす
- メンテ放置:指標週・政局・要人発言をノーチェック → 週1回のダッシュボード確認をルーチン化
- コスト軽視:スプレッド・スワップを無視 → ターンオーバーの多い戦略ほど実効コストを試算
はじめての方向けスタート手順(共通)
- 口座開設・本人確認:入出金ルートと2段階認証を設定
- 試算ツールで練習:らくトラ試算表/証拠金シミュレーターで想定レンジと維持率をチェック
- 小ロットで稼働:1〜2週間はログ(約定履歴・含み損)を観察
- 微調整:利確幅・本数・レンジの過不足を補正
- 分散:通貨・レンジ・ロジックの3方向で分散を進める
まとめ:どっちが儲かるかは“相場×あなたの続け方”で決まる
トラリピはレンジ回帰の強みを活かし、コア運用の安定収益を狙いやすい一方、トライオートFXはトレンド期の増収に強みがあります。最終的な成績は、相場局面の適合度・資金余力・メンテ頻度で大きく変化します。
迷う場合は、“まずは小さく回して慣れる→分散→必要に応じて併用”の順でステップアップしましょう。継続可能な運用こそ、最大のエッジです。
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