【資金設計の正解】“まず損失許容→ロット→証拠金”の順で決める
iサイクル2取引™で成果がブレる最大要因はロットが先行する運用です。本稿は外為オンラインの環境を前提に、損失許容1〜2%から逆算してロット・必要証拠金・維持率を決める手順を数式と具体例で整理。段階的な増ロット、想定ドローダウン(DD)と含み損耐性、維持率監視テンプレまで、実務でそのまま使える形で解説します。
この記事で分かること
- 損失許容→ロット→証拠金の逆算フロー(数式つき)
- 必要証拠金の目安(想定レート・レバレッジでの具体表)
- iサイクル2取引™特有の「本数×密度」設計とDD耐性の考え方
- 維持率アラート閾値と日次モニタリングのテンプレ
- 段階的な増ロットと“やめるルール”の作り方
- 結論と方針:資金設計の3原則
- ロット計算の基礎式(前提とステップ)
- 必要証拠金の目安:想定レート×レバレッジで算出
- iサイクル2取引™の「本数×密度」とDD耐性
- 維持率モニタリング:テンプレとアラート閾値
- 資金規模別モデル構成(目安)
- 段階的な増ロットルール(崩れない拡張)
- 簡易DDシミュレーション(手計算テンプレ)
- 維持率しきい値と自動アクション(運用ルール化)
- 資金繰りの実務:入出金と“やめるルール”
- 通貨分散の作り方(相関・ボラ・スワップの三点バランス)
- 相場フェーズ別の配分テンプレ(トレンド/レンジ/高ボラ/低ボラ)
- 週次レビューの記録テンプレ(KPIダッシュボード)
- 緊急時の資金保全フロー(停止→縮小→復旧)
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
結論と方針:資金設計の3原則
- 逆算の順番:損失許容(%)→損切り幅(pips)→ロット→必要証拠金の順で決める。
- DD設計:バックテストの最大DD×1.3倍を“最悪シナリオ”として耐性を確認。
- 段階増ロット:維持率200%超・遵守率90%以上を2週間連続で達成したら+10〜20%だけ増やす。
ロット計算の基礎式(前提とステップ)
取引単位は証券会社で異なるため、本稿では便宜上「1Lot=1,000通貨」として例示します(実際の口座仕様は必ず公式でご確認ください)。USD/JPYでの概算は以下の通りです。
Step1|損失許容額(円) = 口座残高(円) × 許容率(例:1% = 0.01)
Step2|1Lotあたりの損益(円) ≒ pips × 10(※USD/JPY・1,000通貨の概算)
Step3|推奨ロット(Lot) = 損失許容額 ÷ (損切り幅pips × 10)
例:口座残高30万円、許容1%=3,000円、損切り幅30pのとき
推奨ロット=3,000 ÷(30×10)= 10Lot(=1万通貨)
許容率×損切り幅別の推奨ロット早見
口座残高 | 許容率 | 損切り幅 | 推奨ロット(概算) | 想定通貨量 |
---|---|---|---|---|
30万円 | 1%(3,000円) | 30p | 10Lot | 1万通貨 |
30万円 | 2%(6,000円) | 30p | 20Lot | 2万通貨 |
50万円 | 1%(5,000円) | 40p | 12Lot | 1.2万通貨 |
※スマホは横にスライドして表を確認できます。概算。実際の損益換算は通貨・レートで異なります。
必要証拠金の目安:想定レート×レバレッジで算出
必要証拠金(円)は、想定レートでの建玉想定元本÷レバレッジで求めます。例:USD/JPY=150円、1,000通貨=15万円の建玉、レバ25倍とすると必要証拠金=6,000円。以下は概算の早見表です。
通貨ペア(想定レート) | 1Lot=1,000通貨 | 必要証拠金(25倍) | 10Lot(=1万通貨) | 必要証拠金(25倍) |
---|---|---|---|---|
USD/JPY(150) | 15万円 | 6,000円 | 150万円 | 60,000円 |
EUR/JPY(160) | 16万円 | 6,400円 | 160万円 | 64,000円 |
AUD/JPY(100) | 10万円 | 4,000円 | 100万円 | 40,000円 |
※スマホは横にスライドして表を確認できます。想定レートでの概算。必要証拠金はレート変動で増減します。
iサイクル2取引™の「本数×密度」とDD耐性
裁量の単発と異なり、iサイクル2取引™はレンジ幅・本数・ステップ幅が同時に含み損と必要証拠金に効きます。特に中心ゾーンの密度を上げ過ぎると、反転不発時に含み損が重なりやすく、維持率の悪化を招きます。基本方針は以下。
- 中央厚め/端薄め:回転の中心に厚み、レンジ端は間引いてDD上振れを抑制。
- 広めから始める:初月はレンジ広め・本数控えめ。維持率に余裕が出てから密度を+10%。
- 端ゾーンの新規OFF:高ボラ・イベント前後は端の新規を止め、捕まりを未然に回避。
維持率モニタリング:テンプレとアラート閾値
- アラート:維持率180%で要注意、170%で新規OFF、150%接近で本数-10〜20%。
- 日次記録:「残高/評価損益/必要証拠金/維持率/変更点」を1行で残す。
- 週次レビュー:KPI(回転効率・実質コスト倍率・遵守率)を比較し、直すのは1箇所だけ。
資金規模別モデル構成(目安)
第一パートの逆算ロジックを、資金10万/30万/50万/100万円の4レンジで具体化します。想定はUSD/JPY中心・1Lot=1,000通貨・レバ25倍・想定レート150円の概算です(必ずご自身の口座仕様・最新レートで再計算してください)。
資金 | レンジ幅 | 本数/ステップ幅 | 1本ロット | 想定合計ロット | 必要証拠金(概算) | 想定DD許容(目安) |
---|---|---|---|---|---|---|
10万円 | 4円(例:148〜152) | 20本/0.2円 | 1Lot | 20Lot(2万通貨) | 約12万円(必要時) | −2〜−3万円 |
30万円 | 6円(147〜153) | 30本/0.2円 | 2Lot | 60Lot(6万通貨) | 約36万円(必要時) | −6〜−8万円 |
50万円 | 8円(146〜154) | 32本/0.25円 | 3Lot | 96Lot(9.6万通貨) | 約58万円(必要時) | −10〜−13万円 |
100万円 | 10円(145〜155) | 40本/0.25円 | 4Lot | 160Lot(16万通貨) | 約96万円(必要時) | −18〜−22万円 |
※スマホは横にスライドして表を確認できます。すべて概算の一例。維持率・余力に応じて縮小から開始してください。
重要:上表は最大同時稼働を想定した必要証拠金の荒い上限イメージです。実運用では常時この水準を使い切らず、維持率200%以上の余裕を確保した構成から始めましょう。
段階的な増ロットルール(崩れない拡張)
勝ちやすさは「入れる量」より「崩れない増やし方」で決まります。以下のテンプレをそのまま運用ノートに転記して使えます。
- 達成条件:2週間連続で 維持率200%以上/運用ルール遵守率90%以上。
- 増やす量:合計ロットの+10〜20%のみ(1か所だけ増やす)。
- 増やす場所:回転実績の中央ゾーンに限定。端ゾーンは据え置き。
- 監視指標:実質コスト倍率(=総コスト/総利確)、回転効率(=利確回数/本数)。
- 撤退条件:1週間平均維持率が170%未満に低下→増分を原状回復。
項目 | 基準 | 判定 | アクション |
---|---|---|---|
維持率 | 直近2週平均200%以上 | OK/NG | OKなら+10〜20%増、NGなら据え置き |
遵守率 | 90%以上(指標回避・新規OFF等) | OK/NG | OKで増、NGは先にルール修正 |
実質コスト倍率 | 0.35以下(利確に対する総コスト比) | OK/NG | NGは本数または利確幅を再設計 |
※スマホは横にスライドして表を確認できます。
簡易DDシミュレーション(手計算テンプレ)
スプレッドや滑りは控えめ仮定でOK。「最大同時建玉×平均含み損」をざっくり出し、必要証拠金の増勢と合わせて維持率を試算します。
① 最大同時建玉(通貨) = 合計ロット × 1,000
② 平均含み損(円) = 平均含み損pips × 0.1円 × 同時建玉(千通貨単位)
③ 必要証拠金(円) = 同時建玉 × 想定レート ÷ レバレッジ
④ 維持率(%) = {(残高 − 含み損) ÷ 必要証拠金} × 100
例)合計ロット96Lot(9.6万通貨)、平均含み損40p、想定レート150、レバ25倍、残高50万円。
①96,000通貨/②40p×0.1円×96=384,000円/③96,000×150÷25=576,000円
④維持率={(500,000 − 384,000)÷ 576,000}×100 ≒ 20% → 危険(構成過大)。
⇒ 本数削減・1本ロット縮小・レンジ縮小・端の新規OFFのいずれかで直ちに軽量化。
維持率しきい値と自動アクション(運用ルール化)
「迷わないための数値ルール」をあらかじめ用意しておきます。判断が早くなり、ロスカット回避に直結します。
維持率 | ステータス | やること(即時) | やること(翌営業日まで) |
---|---|---|---|
200%以上 | 余裕 | 記録のみ/増ロット検討 | KPIレビュー→必要なら+10% |
180〜199% | 注意 | 端ゾーンの新規OFF | 本数−10%を検討 |
170〜179% | 警戒 | 中央以外の新規OFF・利確優先 | 1本ロット−20% or レンジ縮小 |
〜150% | 危険 | 本数−30%/成行新規禁止 | 端ポジ解消・一部損切りで回復 |
※スマホは横にスライドして表を確認できます。数値は例。ご自身の耐性で調整してください。
資金繰りの実務:入出金と“やめるルール”
- 入金:急変時の増し担保ではなく、平常時に小分け入金(週1回・固定額)でバッファ育成。
- 出金:月次で評価益の30〜50%を生活口座へ。残りで再投資(複利は遅く育てる)。
- やめるルール:「2週連続で維持率170%未満」または「DDが月初残高の−15%超」→半減運用へ縮小。
通貨分散の作り方(相関・ボラ・スワップの三点バランス)
ロット計算と維持率設計が固まったら、次は通貨分散で資金曲線のブレを抑えます。ポイントは相関(同じ動きを避ける)・ボラ(振れ幅)・スワップ(保有コスト/収益)の三点を同時に見ること。まずは「円絡み+ドルスト+高金利」を組み合わせるのが定番です。
カテゴリ | 候補ペア | 相関の観点 | ボラティリティ | スワップ傾向 | メモ(iサイクル2取引™の相性) |
---|---|---|---|---|---|
円絡み(基軸) | USD/JPY | 国内ニュース・金利で動きやすい | 中 | 中 | 回転実績が出やすい中心軸に◎ |
ドルスト(分散) | EUR/USD | 円とは別要因(米欧金利差) | 中 | 小〜中 | 円相場とズレる時間帯に回転 |
商品国(スワップ寄与) | AUD/JPY | 資源価格・豪政策金利の影響 | 中 | 中 | レンジとスワップの両立を狙う |
高金利(慎重追加) | MXN/JPY等 | ショック時の同時下落に注意 | 中〜高 | 高 | ロット小さく・利確幅広めで |
※スマホは横にスライドして表を確認できます。上記は一例。ご自身の口座仕様・スワップ条件を前提に再設計してください。
相場フェーズ別の配分テンプレ(トレンド/レンジ/高ボラ/低ボラ)
同じ構成を固定せず、週次レビューの結果に応じて「新規ON/OFF・本数・1本ロット」を微調整します。以下のテンプレを基準に、±10〜20%の範囲で配分を切り替えましょう。
フェーズ | 新規の扱い | 本数/ステップ幅 | 1本ロット | 備考 |
---|---|---|---|---|
明確なレンジ | 中央ゾーンのみON | やや多め/やや狭め | 基準 | 回転重視で利確幅は標準 |
トレンド発生 | 逆行側の新規OFF | 本数−20%/広め | −20% | 端の捕まり回避を優先 |
高ボラ急拡大 | 一時的に新規OFF | 本数−30%/広め | −30% | メンテ時間・指標前は発注封印 |
低ボラ停滞 | 中央をON維持 | 本数+10%/狭め | 基準 | 利確幅を少し縮め回転数を確保 |
※スマホは横にスライドして表を確認できます。数値は一例。維持率と実質コスト倍率を見ながら微調整。
週次レビューの記録テンプレ(KPIダッシュボード)
「増やす/減らす」を数字で判断するためのKPIテンプレです。スプレッド・スワップ・滑り・手数を合算した実質コスト倍率と、回転効率を主指標にします。
週 | 平均維持率 | 実質コスト倍率 | 回転効率 | 遵守率 | 増減判断 | メモ |
---|---|---|---|---|---|---|
W1 | 210% | 0.32 | 0.45 | 95% | +10%増 | 中央ゾーン良好 |
W2 | 178% | 0.38 | 0.31 | 92% | 据え置き | トレンド発生で端OFF |
※「実質コスト倍率」=総コスト÷総利確金額、「回転効率」=利確回数÷稼働本数、「遵守率」=発注ルールを守れた割合。
緊急時の資金保全フロー(停止→縮小→復旧)
- 停止:イベント前/通信不安定/異常スプレッド時は新規OFF(成行禁止)。
- 縮小:端ゾーンのポジ解消→本数−30%→1本ロット−20%の順で段階的に軽量化。
- 復旧:平均維持率が200%回復+遵守率90%の週が2週連続で、+10%ずつ戻す。
まとめ
- 逆算の順序:許容DD → 維持率目標 → ロット/本数 → レンジ → 配分。
- 増やし方:中央ゾーンのみ+10〜20%、2週の数字が整ってから。
- 守り:トレンド/高ボラでは端の新規OFF、本数/ロットを迅速に縮小。
- 記録:維持率・実質コスト倍率・回転効率・遵守率を週次で可視化。
- 分散:円絡み+ドルスト+商品国/高金利を小さく足し、ショック時の同時下落に備える。
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