【戦略的リスクヘッジか】みんなのFXでの両建て取引の可否、仕組みと注意点
FX取引における「両建て(りょうだて)」は、一つの通貨ペアに対して買いポジションと売りポジションを同時に持つ特殊な手法です。この手法は、戦略的なリスクヘッジに利用されることがありますが、同時に多くのデメリットや注意点が存在します。トレイダース証券 みんなのFXでは、両建て取引は可能ですが、利用にあたっては口座の証拠金ルールやコスト面での独自の理解が必要です。本記事では、みんなのFXで両建て取引を行う際の具体的な仕組み、トレーダーが期待するメリットと、特に初心者が陥りやすいデメリットを徹底的に解説します。さらに、みんなのFXで両建てを行う際の証拠金ルールや、両建てを安全に活用するための注意点を詳しく紹介し、この手法を正しく使いこなすための知識を提供します。
この記事の主な内容
- みんなのFXにおける両建て取引の可否と基本ルール
- みんなのFXの両建て:証拠金ルールの仕組み
- 両建て取引の主なメリットと戦略的な活用法
- 両建て取引の致命的なデメリットと初心者が避けるべき理由
- 両建てを安全に行うための注意点とリスク管理
- 両建て以外でリスクヘッジを行う方法
1. みんなのFXにおける両建て取引の可否と基本ルール
両建て取引とは?
両建て取引とは、同じ通貨ペアで、買いポジションと売りポジションを、同じ(または異なる)数量で同時に保有する状態を指します。例えば、米ドル/円を1万通貨買うと同時に、米ドル/円を1万通貨売るポジションを持つことです。
みんなのFXでの両建ては可能
トレイダース証券 みんなのFXでは、両建て取引は可能です。多くの国内FX会社と同様に、顧客のリスクヘッジの手段として認められています。ただし、両建て取引には特有のコストやリスクが伴うため、その仕組みを理解せずに安易に始めるべきではありません。
両建てに関する基本ルール
- **強制ロスカットの対象:** 両建てポジションであっても、口座全体の評価損益と証拠金維持率に基づいて強制ロスカット(ロスカット)の対象となります。
- **禁止事項の確認:** 両建てを利用した不正行為(例:異なるFX会社間での両建てによる裁定取引など)は、禁止されています。みんなのFXの取引約款を遵守する必要があります。
2. みんなのFXの両建て:証拠金ルールの仕組み
通常、FX取引ではポジションを保有するために取引数量に応じた証拠金(必要証拠金)が必要となります。みんなのFXでは、両建ての場合、この証拠金の計算方法に独自のルールがあります。
みんなのFXの特殊な証拠金ルール:最大値方式
みんなのFXでは、両建てポジションの必要証拠金は、買いポジションと売りポジションのうち、**金額の大きい方(最大値)の証拠金のみ**を拘束する方式を採用しています。
両建て証拠金の計算例(レバレッジ25倍、米ドル/円150円の場合)
- **通常取引:** 買い1万通貨 + 売り1万通貨 → 合計2万通貨分の証拠金(12万円)が必要。
- **みんなのFX(両建て):** 買い1万通貨 + 売り1万通貨 → 1万通貨分の証拠金(6万円)のみが必要。
つまり、両建てにすることで、実質的に必要な証拠金の拘束額を抑えることができます。
証拠金ルールのメリットと潜在的なリスク
メリット:資金効率の向上
拘束される証拠金が片道分で済むため、同じ資金でより多くの取引量を保有できます。これは、資金効率が高いと見なすこともできます。
リスク:ロスカット水準の変化への注意
拘束される証拠金が少ないということは、口座の証拠金維持率が、価格変動によって急激に変化するリスクがあることを意味します。特に、片方のポジションが大きく含み損を抱えた場合、証拠金維持率の低下が速まり、強制ロスカットまでの余裕が少なくなる可能性があります。両建てだからといって安心はできません。
3. 両建て取引の主なメリットと戦略的な活用法
両建て取引は、コスト面でのデメリットが多いにもかかわらず、特定の状況下では戦略的なメリットがあります。これを理解し、計画的に活用することが重要です。
メリット 1:含み益の一時的な固定(リスクヘッジ)
両建ての最も一般的なメリットは、含み益が出ている状況で、一時的に相場の方向性が不透明になった際、利益を確定せずに固定することです。
- **活用法:** 買いポジションで大きな含み益が出ているが、短期的な調整(下落)が予想される場合、一旦売りポジションを同量持ちます。この間、買いポジションの含み益は変動しなくなり(利益が固定され)、下落局面をやり過ごすことができます。調整が終わったら売りポジションだけを決済し、買いポジションの利益をさらに伸ばすことを狙います。
メリット 2:異なる時間軸での戦略の同時実行
長期的なポジショントレードで買い(または売り)トレンドを狙いながら、その中の短期的な逆行(押し目や戻り)をデイトレードで狙う戦略です。
- **活用法:** 日足で明確な上昇トレンド(買いポジションを長期保有)を確認しつつ、4時間足での一時的な下落(押し目)を狙って短期の売りポジションを持ち、その利益を確保する「つなぎ売り」として利用されます。
メリット 3:スワップポイントの「サヤ取り」の可能性(みんなのFXでは困難)
理論上は、スワップポイントの支払い額よりも受取額が多いFX会社があれば、両建てで「サヤ取り」が可能ですが、みんなのFXを含む国内のFX会社では、買いスワップ(受取)よりも売りスワップ(支払い)の方が金額が高く設定されているため、通常、両建てでスワップポイントを狙った利益を得ることは極めて困難です。
4. 両建て取引の致命的なデメリットと初心者が避けるべき理由
両建てにはメリットを上回る多くのデメリットがあります。特に初心者トレーダーは、安易に両建てに手を出さないように注意が必要です。
デメリット 1:コストの二重負担(スプレッド)
両建ては、買いと売りのポジションを同時に持つため、新規エントリーのたびにスプレッド(取引コスト)が2倍かかります。例えば、1万通貨の両建てを構築する場合、合計2万通貨分のスプレッドコストを支払うことになります。
デメリット 2:マイナススワップの二重負担
これが両建ての最大のデメリットの一つです。多くの通貨ペアでは、買いポジションでプラススワップ(受取)が得られても、売りポジションではそれ以上のマイナススワップ(支払い)が発生します。両建ての状態では、**プラススワップの受取額よりもマイナススワップの支払額の方が多くなる**ため、ポジションを保有し続ける限り、毎日コストが蓄積されていきます。
| 通貨ペア | 買いスワップ(受取) | 売りスワップ(支払い) | 1日あたりの純コスト |
|---|---|---|---|
| 米ドル/円(例) | +100円/日 | -150円/日 | -50円/日 |
両建てにすることによって、この純コストが毎日発生し、たとえ為替差益が動かなくても、口座資金は確実に目減りしていきます。
デメリット 3:判断が複雑化し、損切りが遅れる
両建てをすると、口座全体の損益が固定されるため、「とりあえず含み損を固定しておこう」という安易な考えになりがちです。これにより、本来であれば損切りすべきだった局面で判断を遅らせ、最終的に両方のポジションが大きな損失を抱えたまま強制ロスカットを迎えるリスクが高まります。特に感情的なトレーダーにとって、両建ては「損切り恐怖症」を悪化させる原因となります。
5. 両建てを安全に行うための注意点とリスク管理
みんなのFXで両建てを行う場合は、メリットを最大限に活かし、デメリットを最小限に抑えるための厳格なルールとリスク管理が必要です。
注意点 1:必ず決済のルールを決めておく
両建ては、あくまで一時的なリスクヘッジの手段であり、永続的にポジションを保有し続けるべきではありません。「いつ、どちらのポジションを決済するのか」という出口戦略を事前に決めておくことが極めて重要です。
- **ルール例:** 「短期的な調整が終わったと判断したら、〇〇のインジケーターサインが出た時点で、即座にヘッジしていた売りポジションだけを決済する。」
注意点 2:スワップコストを把握し、保有期間を限定する
両建て期間中は、毎日スワップコストが発生し続けます。このコストが、両建てによって得られるメリット(例:一時的な含み益の固定)を上回らないように、保有期間を数日〜数週間程度に限定すべきです。
注意点 3:ロスカット水準の余裕を意識する
みんなのFXの証拠金ルールでは拘束額が少なくなりますが、その分、証拠金維持率が低下した際のロスカットまでの余裕が少なくなっている可能性があります。常に「口座全体の含み損益」と「証拠金維持率」をチェックし、証拠金維持率に十分な余裕(例えば、最低でも500%以上)を持たせるように意識しましょう。
6. 両建て以外でリスクヘッジを行う方法
多くのプロのトレーダーは、前述のデメリットから両建てを避けます。みんなのFXでは、両建てよりもシンプルで安全なリスクヘッジ方法が推奨されます。
方法 1:損切り注文(逆指値)の徹底
両建てによるリスクヘッジの代わりに、ポジション保有時に必ず逆指値注文(損切り注文)を設定することが、最も基本的で確実なリスク管理方法です。損失額を事前に限定することで、一時的な相場の逆行に惑わされることなく、計画的な取引が可能です。みんなのFXのIFO注文を活用し、エントリーと同時に損切りを設定することを徹底しましょう。
方法 2:利益確定(指値)と同時に一部決済を行う
含み益が出ているポジションの一部だけを決済し、残りのポジションはそのまま保有することで、利益を確定しながらリスクを減らすことができます。これが両建ての「利益固定」の代替手段となります。
- **活用法:** 1万通貨保有している場合、相場の節目で5千通貨だけ決済し、残りの5千通貨はさらに利益を伸ばすことを狙います。この際、決済しなかったポジションの損切りラインを、エントリー価格(建値)に移動させれば、残りのポジションでの損失リスクもゼロにできます。
方法 3:証拠金維持率のコントロール(ロット調整)
相場の不透明感が増した際に、両建てでヘッジするのではなく、単純にポジションのロットサイズを減らしたり、新規エントリーを一時的に控えたりすることも、シンプルかつ効果的なリスクヘッジです。みんなのFXの証拠金維持率を常に意識し、自分のリスク許容度を超えない範囲で取引しましょう。
まとめ
トレイダース証券 みんなのFXでは、両建て取引は可能です。また、両建て時の証拠金は「最大値方式」を採用しているため、資金効率が良いように見えます。
しかし、両建ては「コストが二重にかかる」「マイナススワップが毎日発生する」「判断が複雑化し損切りが遅れる」という、無視できない大きなデメリットを抱えています。特に初心者トレーダーが両建てを行うと、相場が動かなくてもコストで資金が目減りし、最終的に大きな損失を招きやすいです。
両建てのメリットである「含み益の一時的な固定」は、IFO注文による損切り設定の徹底や、ポジションの部分決済といった、よりシンプルでコスト効率の良い方法で代替可能です。まずはこれらの基本的なリスク管理手法を徹底し、両建ては、その特性とリスクを完全に理解した上で、極めて限定的な局面でのみ利用するように心がけましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. みんなのFXで両建てすると、本当にスワップポイントはマイナスになりますか?
Q2. 両建てポジションでも、強制ロスカットは発生しますか?
Q3. 両建ての証拠金が最大値方式になるのは、同じ数量のポジションだけですか?
- **例:** 買い3万通貨、売り1万通貨の場合、3万通貨分の証拠金(最大値)のみが拘束されます。残りの1万通貨はネットで2万通貨の買いポジションと同じ扱いになります。
Q4. 両建てで含み益を固定した後、どちらのポジションから決済するのが一般的ですか?
- **例:** 上昇トレンドでの利益を固定するために後から建てた売りポジションを、相場が再び上昇トレンドに戻ったタイミングで決済します。これにより、初期の買いポジションの含み益が再び動き出し、利益をさらに伸ばすことを狙います。
Q5. 両建ては、デイトレードやスキャルピングでも利用価値がありますか?
Q6. 両建てよりも安全なリスクヘッジ方法は何ですか?
- **損切り徹底:** IFO注文などを利用し、エントリーと同時に逆指値注文(損切り)を必ず設定し、損失を限定することが最も確実です。
- **ロット調整:** リスクが高いと判断した場合は、両建てせずに単純にポジションのロットサイズを小さく抑えるか、ポジションを持たないという判断が、コストを抑えた上で最も賢明なリスクヘッジとなります。


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