外為オンライン×iサイクル2取引™は「設定の巧拙」よりも、運用を安定させる習慣が成績を分けます。 勝率は週単位でブレる一方、最大DD・実質コスト・ルール遵守率はコントロール可能。 本稿ではKPIの最小セットと“週5分判定→20分是正”の回し方を解説し、中期の再現性を高める具体策を示します。
この記事で分かること
- iサイクル2取引™運用で最優先すべきKPIと基準値
- 週次レビューの標準手順(判定5分→是正20分)
- 赤信号に対する即時アクションのテンプレ
- “勝率信仰”を捨てて再現性を上げる考え方
- 1週間の赤→是正→検証の回し方サンプル
KPI管理の要点:短期の“運”より中期の“再現性”
iサイクル2取引™は建玉が自動で積み上がるため、“崩れ方”の管理が肝心です。勝率は上下しやすく、週次で追いかけてもノイズが多い。 その代わり、最大ドローダウン(DD)・実質コスト・遵守率は設計と運用で抑制できます。 まずは“守りの三本柱”を土台に、次いでRR(平均利益/平均損失)と回転の最適化へ進む順番が、通算のブレを小さくします。
“測れる・比べられる・行動に直結”がKPIの条件
KPIは「数値化しやすい」「先週・先月・基準で比較できる」「赤信号に対する是正アクションが決まっている」ことが必須。増やしすぎは禁物です。 下記6項目に絞り、赤=即行動の運用にします。
- ① 勝率:参考値。上げやすいが過信は禁物。
- ② RR(平均利益÷平均損失):1.1〜1.3目安。損切り短縮・外縁密度で調整。
- ③ 最大DD:口座の10〜15%以内死守。最優先の“守り”。
- ④ 実質コスト:スプレッド+滑り+手数の合算。利益の25%以内を目標。
- ⑤ ルール遵守率:95%以上。守れないルールは削る(仕組みを簡素化)。
- ⑥ 週あたり操作時間:2〜3時間/週に集約。工程が少ないほど遵守率が上がる。
週次レビュー:判定5分→是正20分で回す
続く仕組みにするには“軽い定例”が最強です。日曜夜または月曜朝に10〜25分確保し、次の手順で運用を整えます。
ステップ1:赤信号だけ探す(判定5分)
6KPIを基準値・先週・先月平均と並べ、基準割れ=赤にマーキング。赤が1つでも出たら“守りの週”へ。 攻め(ロット増・利確拡大など)は翌週以降に回します。
ステップ2:原因→対処をテンプレで即決(是正20分)
- 最大DDが拡大:ロット−10〜30%/外縁の本数を薄く/高金利通貨の再開を遅らせる
- 実質コストが増:成行封印/発注間隔を延長/イベント前後は新規停止
- RRが悪化:損切りを短縮/利確幅を+0.05ATRだけ伸ばしバランス調整
- 遵守率が低下:ルールを“3行要約”に圧縮/工程を半減して守りやすく
ステップ3:是正は“1テーマだけ”に限定
1週間で手を入れるのは1テーマ限定。複数を同時に変えると、効果検証が不可能になります。
例:今週はコスト抑制のみ——成行封印+間隔延長に絞る。翌週、数値で判定。
“よくある誤解”を捨てる:勝率信仰と多項目中毒
勝率=正義ではない
勝率は上げやすい一方、損切りが伸びてRRやDDが悪化しがち。勝率が良すぎる週ほど、損切り短縮や外縁の薄化でバランスを点検。
KPIは“6つで十分”
ダッシュボードは増やすほど集計と判断が重くなり、やがてレビューが続かない。 最小で回す=続く=強いが、iサイクル運用の鉄則です。
サンプル:1週間の“赤→是正→検証”
(例)今週は実質コストが基準超え:イベント前後の成行が原因。
来週は成行封印+発注間隔延長だけ実施。他は触らない。再来週、コスト低下とRRの変化を確認し、効果が出ていれば段階的に元へ戻す。
戻す際も25%→50%→75%→100%の順で再開すると安全です。
計測・集計の実装テンプレ(“測れる→比べられる→動ける”)
① データ収集:入力は“1日1行”に集約
入力の負担が重いと続きません。1日1行のサマリに集約して、週次で集計できる粒度にします。 スマホのメモ/スプレッドシート/Notion等、編集しやすい場所でOKです。
date, pairs, trades, wins, losses, gross_pips, spread_pips, slip_pips, fees, net_pips, profit_jpy, loss_jpy, equity_jpy, max_position, rule_violations 2025-09-01, USDJPY/EURUSD, 28, 17, 11, 42.6, 8.4, 3.2, 0, 31.0, 18,500, -9,600, 1,012,300, 9, 1
最低限:勝敗数・粗利ピプス・コスト(スプレッド/滑り/手数)・純ピプス・口座残高。違反回数を1日1カウントで記録。
② 計算式テンプレ:週次の“6KPI”を半自動化
- 勝率=Σwins / (Σwins + Σlosses)
- RR=(勝ち金額平均) ÷ (負け金額平均)=AVERAGEIF(利益>0)/ABS(AVERAGEIF(利益<0))
- 最大DD:週内の残高推移からピーク→ボトムの下落率最大値
- 実質コスト比=(Σspread_pips + Σslip_pips + Σfees相当) ÷ Σgross_pips
- 遵守率=1−(違反日数 ÷ 稼働日数)
- 操作時間/週:実測またはカレンダー予約枠の合計(目安2〜3h)
# スプレッドシート例(週シート) 勝率 = SUM(wins) / (SUM(wins) + SUM(losses)) RR = AVERAGEIF(profit_jpy, ">0") / ABS(AVERAGEIF(profit_jpy, "<0")) 実質コスト比 = (SUM(spread_pips) + SUM(slip_pips) + SUM(fees_pips換算)) / SUM(gross_pips) 遵守率 = 1 - (COUNTIF(rule_violations, ">0") / 稼働日数)
DDは「残高の累積最大値」を更新しつつ、そこからの下落率を随時計算して最大値を保持するロジックが簡便です。
③ 週次サマリ:赤・黄・青で一目判定
KPIごとに基準値を1つだけ設定し、赤=即是正/黄=注意/青=OKの3色で可視化します。 色分けは条件付き書式で自動化し、判定は5分で終えるのがコツ。
基準の例:勝率50%目安/RR1.2以上/最大DD≦10〜15%/実質コスト≦利益の25%/遵守率≧95%/操作時間≦3h/週
アラートと自動チェック:“鳴る仕組み”で守りを先回り
① しきい値アラート(最小構成)
- 証拠金維持率:120%・100%・80%に段階通知(アプリ通知+メール)
- イベント前後:主要指標の30分前にプッシュ(新規停止の合図)
- DD早期警戒:週内下落率が−5%到達で「縮小25%」のタスクを起票
② 週次ToDoを“予約”しておく
日曜夜に「週次レビュー(25分)」のカレンダー予約を定例化。チェックリストは以下の5点のみ。
- 6KPIの色を確認(赤が1つでもあれば守りへ)
- 赤の原因を1つに特定(コスト/密度/遵守/損切り/イベント)
- 是正アクションを1つだけ選ぶ(今週ルール)
- 来週の停止トリガーを明文化(例:維持率100%割れ)
- 変更点をログへ(「いつ・何を・なぜ」)
③ ログの“1行テンプレ”
2025-09-08 | 赤=実質コスト↑(28%) | 原因=成行/指標前 | 是正=成行封印+間隔+25%縮小 | 停止条件=維持率100%割れ | 判定日=9/15
赤信号別プレイブック:迷ったらコレ
最大DDが拡大:即時にロット−25%、外縁の本数を1段スキップ、高金利通貨は一旦停止。週末に密度を再設計。
実質コストが上振れ:成行封印、発注間隔を1.5〜2倍、イベント前後60分は新規停止。コストが基準内に戻るまで継続。
RRが悪化:損切り短縮(−10〜20%)、利確幅を+0.05ATRだけ引き上げてバランス取り。同時に2つ以上は触らない。
遵守率が低下:ルールを“3行”に圧縮。操作工程を半減(予約とチェック中心へ)。守れない設定は採用しない。
操作時間が超過:作業をバッチ化。平日:監視のみ/週末:検証・是正に固定し、平日の意思決定をゼロに近づける。
ケースで学ぶ:“1テーマ限定”の是正が効く
ケースA:コスト悪化の週
指標またぎの成行で滑り多発→今週はコスト是正だけ。封印+間隔延長で推移を確認。RRや利確幅は触らない。
ケースB:DD拡大の週
高金利通貨の逆行でDD−12%→ロット−25%+外縁薄化。翌週、−8%まで改善。戻しは25→50→75→100%の段階で。
ケースC:遵守率90%の週
ルール過多で迷い→3行ルール化(新規停止条件/損切り短縮/操作時間上限)。工程を減らして守れる設計にする。
週次レビュー実演:Before → After の1テーマ改善
ケース1:実質コストが高止まり(指標またぎの成行が原因)
Week A:勝率52%/RR1.18/最大DD−6.4%/実質コスト28%/遵守率92%。指標前後の成行で滑りが増加。
是正:成行封印、発注間隔×1.5、指標前後60分は新規停止。
Week B:勝率53%/RR1.21/最大DD−5.2%/実質コスト19%/遵守率98%に改善。
2025-09-08 | 赤=コスト28% | 原因=成行+指標またぎ | 是正=成行封印/間隔1.5倍/指標60分停止 | 停止条件=維持率100%割れ | 判定=9/15 2025-09-15 | 黄=コスト19% | 継続=同ルール/判定を翌週へ
ケース2:最大DDが拡大(高金利通貨の逆行)
Week A:最大DD−12.1%。高金利クロスで外縁密度が高すぎた。
是正:ロット−25%、高金利は中心帯のみ稼働、外縁1段スキップ。
Week B:最大DD−8.0%。戻しは25→50→75→100%の段階再開で再ドローダウンを回避。
2025-09-08 | 赤=DD12.1% | 原因=外縁密度/高金利偏重 | 是正=ロット-25%/外縁Skip/中心運転 | 再開=25%段階 | 判定=9/15
“見れば動ける”最小ダッシュボード
週次KPIの6指標だけを色で判定
画面1枚で次の行動が決まるよう、6KPIの色分けだけを置きます(条件付き書式で自動): 勝率・RR・最大DD・実質コスト比・遵守率・操作時間/週。
- 青(OK):何もしない=現状維持
- 黄(注意):翌週に観察(是正案は保留)
- 赤(即是正):1テーマ限定でルール変更
“1テーマ限定”ルールの例
- コスト悪化→成行封印+発注間隔×1.5
- DD拡大→ロット−25%+外縁1段スキップ
- RR悪化→損切り短縮10〜20%(利確は据え置きで検証)
- 遵守率低下→“3行ルール”に圧縮(操作工程を半減)
実務テンプレ集:今週から回せるミニパッケージ
1)週次レビュー台本(3分で完了)
- KPI6つ(勝率・RR・最大DD・実質コスト比・遵守率・操作時間)を先週と比較
- 色判定=青/黄/赤を付与(基準は下段)
- 赤が最優先:1テーマだけ是正案を決定(その場で文章化)
- 翌週の停止/再開/縮小の条件を1行で書く
- ダッシュボードのスクショ+1行ログを残す
2)改善テーマの選び方(1テーマ限定)
- 優先度の順:最大DD → 実質コスト → 遵守率 → RR → 勝率 → 操作時間
- 是正は1つだけ:ロット調整 or 発注間隔 or 損切り短縮 などのうち1つ
- 効果判定は翌週のKPIで。並行して別テーマは触らない
3)色判定のしきい値(推奨)
- 青(維持):最大DD≦10〜12%、実質コスト≦25%、遵守率≧95%
- 黄(観察):最大DD12〜15%、実質コスト25〜30%、遵守率90〜95%
- 赤(是正):最大DD>15%、実質コスト>30%、遵守率<90%
4)ログ記入テンプレ(1行でOK)
YYYY-MM-DD | DD=8.4%/Cost=22%/RR=1.23/遵守96% | 判定=青 | アクション=維持 | メモ=指標またぎ停止継続
5)判定→是正の定型文(コピペ用)
【コスト悪化(赤)】成行封印/発注間隔×1.5/指標前後60分は新規停止。
翌週に「平均滑り」と「実質コスト比」を再測定、改善なければロット−25%を追加。
【DD拡大(赤)】ロット−25%/外縁1段スキップ/高金利は中心帯のみ稼働。
再開は25→50→75→100%の段階復帰。各段階でDD/遵守/コストを確認。
6)停止・再開の決定文テンプレ
【停止判定】維持率≦100% or 実質コスト>30% or 指標T-60〜T+60 は新規停止(保有はOCOのみ) 【再開判定】DD≦10% かつ 実質コスト≦25% かつ 遵守≧95% を2週連続達成で25%再開
7)月次レビュー:OKRの置き方(例)
- Objective:DDを2桁に抑えつつ、実質コストを四半期で−20%
- KR1:実質コスト比 ≦ 22%(月末時点)
- KR2:遵守率 ≧ 97%(4週平均)
- KR3:操作時間 ≦ 90分/週(4週平均)
※上記テンプレは「1テーマ是正→翌週判定→維持/再是正」の短いループで威力を発揮します。
変更は小さく、効果測定は厳格に。“測れる→比べられる→動ける”を崩さないのがコツです。
まとめ
- “測れる→比べられる→動ける”を崩さない:入力は1日1行、週次で6KPI。
- 判定は色だけで即断:赤=今週是正、黄=観察、青=維持。
- 是正は1テーマ限定(コスト/密度/損切り/遵守/時間のどれか1つ)。
- DDとコストは先に守る:DD悪化はロット縮小、コスト悪化は成行封印。
- 再開は25→50→75→100%の段階で。再ドローダウンを防ぐ。
- ログは1行テンプレで「いつ・何を・なぜ」を残し、翌週に効果判定。
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