【両建ての深層】LION FXで売りと買いを同時に持つ戦略のすべて
FX取引における両建てとは、同一の通貨ペアにおいて「買いポジション」と「売りポジション」を同時に保有する状態を指します。一般的には経済合理性に欠けると批判されることもある両建てですが、ヒロセ通商 LION FXにおいては、その高い約定力と特殊な証拠金計算ルールを活かした戦略的な活用が可能です。本記事では、LION FXで両建てが可能なのかという基本的な疑問から、両建て時に発生する二重のスプレッド、スワップポイントの逆ザヤリスク、そしてLION FX独自の証拠金MAX方式の仕組みまでを徹底的に解説します。リスクとリターンを正しく理解し、高度な資金管理術としての両建てをマスターしましょう。
この記事で分かること
- LION FXで両建てを行うための具体的なツール設定と発注手順の詳細
- 証拠金負担を劇的に抑えるLION FX独自の「証拠金MAX方式」の数学的ロジック
- 両建て戦略が有効に機能する相場局面とプロが実践する具体的なトレード手法
- スプレッドやマイナススワップが長期的な収支に与えるネガティブな影響のシミュレーション
- 節税対策や一過性の急変回避など、中級者以上が活用する裏技的メリットの法的側面
- 両建て解除時に陥りやすいミスと、損失を最小限に抑えるための高度な決済テクニック
- 強制ロスカットを招く「スプレッド拡大」の恐怖とその回避策
1. LION FXで両建ては可能か?システム上の仕様と必須設定
結論から述べますと、ヒロセ通商のLION FXでは両建て取引が完全に認められています。しかし、多くのFX会社と同様に、LION FXでも初期設定の状態では両建てがスムーズに行えないケースがあるため、まずはその設定の深部を理解しましょう。
「両建てあり」設定のメカニズム
LION FXの取引ツール(PC版C2、インストール版、スマホアプリ版)には、注文設定の中に必ず「両建て」の選択項目が存在します。これを「あり」に設定しない限り、例えば買いポジションを持っている状態で売り注文を出すと、システムはそれを「新規の売り」ではなく「買いの決済」とみなしてしまいます。これは「決済注文優先」のアルゴリズムが働いているためです。両建てを戦略的に組み込む場合、まずこのアルゴリズムをオフにし、売りと買いのポジションを個別に、独立して管理できるようにする必要があります。
通貨ペアごとに設定は保持されるのか
LION FXの優れた点の一つに、注文設定の細かさがあります。全通貨ペアに対して一括で両建てを許可することもできますが、誤発注を防ぐために特定の通貨ペアだけを両建て設定にすることも可能です。特にスキャルピングをメインとする通貨ペアでは、反対売買による即時決済が生命線となるため、両建てを「なし」に設定しておくのが鉄則です。一方、スイングトレードやヘッジ目的の通貨ペアでは「あり」にするなど、戦略ごとに口座内の挙動を出し分けることが、プロフェッショナルなトレーダーへの第一歩です。
2. LION FX独自の証拠金ルール「証拠金MAX方式」の徹底解剖
両建てを行う上で、トレーダーが最も恩恵を受ける、あるいは注意しなければならないのが証拠金の計算方法です。ヒロセ通商が採用している証拠金MAX方式について、どこよりも詳しく解説します。
証拠金MAX方式の数学的メリット
通常のFX会社では、買いに10万円、売りに10万円の証拠金が必要な場合、両建てをすると合計20万円の証拠金が拘束されることがあります。これでは資金効率が極めて悪くなります。しかし、LION FXの証拠金MAX方式は、同一通貨ペアで両建てをしている際、ロット数が多い方の証拠金のみを差し押さえるという画期的なシステムです。例えば、米ドル円10ロットの買いに対し、5ロットの売りを入れた場合、拘束される証拠金は10ロット分のみです。この仕組みにより、限定された資金の中でも柔軟にヘッジポジションを構築することが可能になります。
証拠金維持率の動的な変化に注意せよ
MAX方式によって見た目の証拠金維持率は安定しますが、ここに落とし穴があります。両建てを解除(決済)した瞬間、MAX方式の適用が外れます。例えば、買い100ロット・売り100ロットで両建てしている際、一気に両方を決済すれば問題ありませんが、片方の100ロットだけを決済すると、残された100ロットに対して本来の証拠金が必要になります。この際、口座残高が不足していると、決済した瞬間に証拠金維持率が急低下し、即座にロスカットが発動するという皮肉な結果を招くことがあります。MAX方式は「持っている間」は有利ですが、「外すとき」に最大の注意が必要なのです。
3. 戦略としての両建て:プロが活用する具体的な4つのシーン
一般的に「両建ては手数料の無駄」と言われますが、それはあくまで単純な算術上の話です。実際のトレード現場では、心理面やリスク管理面で大きな威力を発揮します。
シーン1:重要指標発表時のボラティリティ・ヘッジ
米雇用統計などの巨大なイベント前、すでに大きな含み益が出ているポジションを閉じるのは惜しいが、急落で利益を飛ばしたくないという場面があります。ここで同量の反対ポジションを持つ「フルヘッジ」を行うことで、相場が上下どちらに100ピップス動こうとも、その時点の利益を完全に固定できます。指標の結果が出て、トレンドの方向性が再確認された後に、逆行した方のポジションだけを閉じることで、利益を最大化しつつリスクをゼロに抑えることができます。
シーン2:長期スワップ投資における一時的なトレンド追随
例えばメキシコペソ円などの高金利通貨を長期保有している際、世界情勢の悪化で一時的な円高(下落)が予想されるケースがあります。長期的な買いポジションは決済したくない(スワップ受取の権利を失いたくない)場合、短期的に売りポジションを被せることで、下落局面の含み損を売りの利益で相殺します。LION FXの高いスワップ水準を維持しつつ、評価損を最小化する高度なテクニックです。
シーン3:心理的な「ブレイクタイム」の創出
トレードにおいて最も恐ろしいのは、冷静さを欠いたリベンジトレードです。大きな含み損を抱え、パニックになりそうな時、一度両建てでポジションをロックします。すると、レートが動いても損益が動かなくなるため、驚くほど冷静になれます。この「心の静寂」を取り戻した上で、改めてチャートを分析し、損切りするのか、あるいは保持するのかを判断する。両建ては、トレーダーの精神を守るためのシェルターとしても機能します。
シーン4:年末の節税対策としての利益調整
FXの税金は「決済損益」に対してかかります。多額の含み益があるが、今年は他の所得が多く、来年に課税を回したい場合、年末に両建てを行って利益を固定します。年明けに決済することで、経済的な利益は今年の相場の動きで確定させつつ、税務上の確定は翌年に持ち越すことができます。これは合法的なタックスマネジメントとして、一定の資産を持つトレーダーの間では常識となっています。
4. 両建ての「闇」:初心者が見落とす3つの致命的コスト
光があれば影があります。両建てを安易に行うことで、知らぬ間に口座資金が吸い取られていくリスクについて、詳細に警告します。
コスト1:スプレッドの二重払いが招く「隠れた損失」
LION FXのスプレッドは非常に狭いですが、ゼロではありません。買いで1回、売りで1回。合計2回のスプレッドを支払うことは、取引開始時点で確実に数ピップスのハンデを背負うことを意味します。特に取引ロットが大きい場合、この二重スプレッドだけで数万円のコストが発生することもあり、頻繁な両建ては期待値を著しく下げます。
コスト2:スワップポイントの「逆ザヤ」という不治の病
FX会社は、買いスワップと売りスワップの間に必ず「スプレッド(差額)」を設けています。例えば、買いで100円もらえる通貨ペアでも、売りでは120円支払わなければならないのが一般的です。この20円の差額は、両建てをしている限り毎日必ず発生する「保有コスト」です。数ヶ月単位で両建てを放置すると、為替レートは変わっていないのに、スワップの支払いだけで証拠金が底をつく「スワップ死」を招くリスクがあります。
コスト3:スプレッド拡大による「強制ロスカット」の罠
これが最も恐ろしいリスクです。両建てで損益を固定していても、有効証拠金は「時価」で計算されます。早朝や経済指標時、あるいは月曜日の窓開け時にスプレッドが極端に拡大すると、買い値と売り値の乖離が大きくなり、一時的に含み損が急増したとみなされます。これにより、証拠金維持率がロスカットラインを割り込み、両建てしているはずなのに全てのポジションが強制決済されるという悲劇が起こります。両建ては「完全な安全」ではないのです。
5. LION FXで両建てを成功させるための実践的運用マニュアル
デメリットを理解した上で、それでも両建てを活用したいという方のために、LION FXの機能を駆使した具体的な運用方法を伝授します。
「決済同時発注」機能の活用で出口を自動化する
両建ての最大の問題は、売りと買いのどちらをいつ外すかという判断に迷いが生じることです。LION FXの決済同時発注機能を使えば、両建てを構築した瞬間に、片方のポジションに対して「ここに来たら利確」、もう片方に「ここに来たら損切り」という注文を個別に入れられます。これにより、相場が反転した際、自動的に有利な方のポジションだけを残し、不利な方を清算するという動作が可能になります。
指定決済機能で「相殺」を効率化
LION FXには、複数のポジションの中から特定の売りと買いをペアにして相殺決済する「指定決済」があります。これを活用すると、個別に成行で閉じるよりもスリッページの影響を抑えられ、かつ取引履歴も整理されます。特にキャンペーン目的で大量の取引回数をこなす際、両建てでポジションを貯めておき、最後に一括で指定決済するという手法は、効率的な資金管理に役立ちます。
| 項目 | 詳細な影響 | 対策・アドバイス |
|---|---|---|
| 証拠金 | MAX方式により、多い方の数量分のみで済む。 | 解除時の維持率低下に備え、余剰資金を常に確保する。 |
| コスト | スプレッド二重払い + スワップの逆ザヤ。 | 短期的なヘッジに限定し、長期の放置は避ける。 |
| 心理面 | 損益が固定されるため、パニックを抑止できる。 | 「先延ばし」の道具にせず、冷静な再分析を行う。 |
| 税務 | 決済を遅らせることで、課税年度の調整が可能。 | 年末年始のスプレッド拡大リスクを十分に考慮する。 |
6. 結論:LION FXにおける両建ての賢い付き合い方
ヒロセ通商 LION FXにおける両建ては、正しく使えば「最強の守り」であり「狡猾な攻め」にもなります。証拠金MAX方式というトレーダーに有利なルールがある以上、これを利用しない手はありません。しかし、その裏にあるコストとスプレッド拡大のリスクを1秒たりとも忘れてはいけません。
初心者はまず、両建てに頼らずに損切りができる規律を身につけるべきです。一方で、中上級者にとっての両建ては、相場の荒波を乗りこなすための「サーフボード」のようなものです。LION FXの自由度の高いシステムを信じ、自らの戦略の中にこの特殊な手法を正しく組み込むことができたとき、あなたの収支は一段上の安定感を手にするでしょう。常に「なぜ今両建てをするのか」「いつ外すのか」という問いに対する明確な答えを持って、取引に臨んでください。
LION FX 両建て運用の最終チェックリスト
- 設定の確認: 取引画面で「両建てあり」が選択されているか。
- 証拠金の余裕: スプレッドが10倍に広がってもロスカットされない維持率があるか。
- スワップ差額の把握: 毎日いくらの金利コストを支払うことになるか把握しているか。
- 出口戦略の策定: どちらの方向に動いたら、どのタイミングで片方を外すか決めているか。
- 目的の再確認: これは単なる損切りの拒否ではないか、自問自答したか。
これらの準備が整って初めて、両建ては投資としての価値を持ちます。ヒロセ通商が提供するプロ仕様のツール群を駆使し、スマートな資金運用を実現しましょう。


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